放っておけない「睡眠時無呼吸症候群」とは
もしかしてSAS?放っておけない「睡眠時無呼吸症候群」とは
最近、こんな症状はありませんか?
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朝起きたときに疲れが残っている
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いびきが大きいと家族に言われる
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昼間、ついウトウトしてしまう
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集中力が続かない
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高血圧を指摘されたことがある
もし思い当たるものがあれば、「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」の可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?
SASとは、睡眠中に呼吸が止まったり、極端に浅くなったりする病気です。特に多いのが、「閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)」と呼ばれるタイプで、のどの奥(上気道)が塞がってしまうことが原因です。
自分では気づきにくいのが特徴で、「ただのいびき」や「疲れやすさ」だと思って見過ごされがちですが、実はさまざまな疾患リスクと深く関わっています。
SASが引き起こす健康リスクとは?
SASを放置すると、以下のような重大な健康リスクが高まることがわかっています。
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高血圧・心不全・心筋梗塞・脳卒中
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2型糖尿病や脂質異常症
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うつ病や認知機能低下
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交通事故・労働災害のリスク上昇
「睡眠の質」が損なわれることで、全身に悪影響を及ぼすのです。
自宅でできる「簡易検査」とは?
当院では、帝人株式会社との提携により、ご自宅でできるSASの簡易検査をご案内しています。
✔ 簡易検査の流れ:
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医師の問診
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帝人より検査機器をご自宅に発送
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ご自宅で1~2晩、就寝時に機器を装着
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回収・解析後、結果を医師が説明
この検査で「1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数(AHI)」が測定できます。
AHIが40以上 → 精密検査なしでCPAP治療へ
簡易検査で AHIが40以上 と診断された場合は、精密検査(ポリソムノグラフィー)を行わなくても、CPAP(シーパップ)治療を保険適用で開始することが可能です。
つまり、重度のSASであれば、より早く治療に進めるのです。
CPAP治療とは?
CPAP治療は、睡眠中にマスクをつけて、空気を送り込み、のどが塞がらないようにする治療法です。治療を始めることで、
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熟睡できるようになる
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日中の眠気がなくなる
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血圧が安定しやすくなる
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心臓や血管への負担が減る
といったさまざまな改善効果が期待できます。
帝人との連携により、機器の提供・使い方のサポート・遠隔モニタリングまでトータルで支援いたします。
最後に:いびきは「病気のサイン」かもしれません
「ただのいびきだから」と放っておくのはとても危険です。
SASは、気づかないうちに命に関わる疾患へとつながっていく**“静かな病気”**とも言われています。
少しでも気になる症状があれば、ぜひ一度ご相談ください。
自宅でできる簡易検査から、治療までしっかりサポートいたします。
📞 お問い合わせ・検査予約はお気軽にどうぞ
「脳の炎症が記憶をなくす?」アルツハイマー病の新しい見方とは
🧠「脳の炎症が記憶をなくす?」アルツハイマー病の新しい見方とは
こんにちは!今日は「アルツハイマー病」について、ちょっと変わった視点からお話しします。
みなさんは「アルツハイマー病」って聞いたことありますか?
これは、年を取るにつれて記憶がなくなったり、考える力が弱くなったりする病気のひとつです。
でも最近、研究が進んで、「この病気、ただの”脳の老化”だけじゃない!」ってことがわかってきました。
🚧 脳のバリアが壊れるとどうなる?
私たちの脳には、「血液脳関門(けつえきのうかんもん)」っていうバリアがあります。
このバリアは、血液の中の“いらない物”が脳に入ってこないように守ってくれてるんです。
でも、高血圧や糖尿病、年を取ることなどが原因で、このバリアが少しずつ壊れてしまうことがあります。
するとどうなるか?
👉 血液の中のタンパク質や、炎症を起こす物質が脳に入ってきて、脳が炎症を起こしちゃうんです。
🔥 炎症が脳に悪さをする
脳の中には「ミクログリア」っていうお掃除屋さんがいます。
ふだんはいい働きをしてくれるんだけど、炎症が続くと、この細胞が“怒って”しまって、逆に神経細胞を壊すようになっちゃうんです。
この状態が長く続くと、記憶をつかさどる脳の部分(例えば「海馬」ってところ)がダメージを受けていきます。
🧬 遺伝子や生活習慣も関係してる!
「うちはおじいちゃんもアルツハイマーだったから、私も心配…」
そんな声もよく聞きます。
実は、APOE4っていう遺伝子を持っている人は、アルツハイマーになりやすいってことがわかっています。
でも、遺伝だけじゃありません!
✅ 食べすぎ
✅ 運動不足
✅ 睡眠不足
✅ ストレス
こんな生活習慣も、脳のバリアや炎症に悪影響を与えるんです。
💡 じゃあ、どうすればいいの?
すごく難しい病気に見えるけど、予防できることもたくさんあります!
💪 血圧や血糖値をコントロールする
🍽️ 糖質をとりすぎず、野菜や良い脂をとる
🚶♂️ 毎日ちょっとでも運動する
🛌 睡眠をしっかりとる
🧠 頭を使う趣味をもつ(パズルや読書など)
こういったことが、脳を守るカギになります!
✨ まとめ
アルツハイマー病は、「アミロイドβ」という物質だけが原因ではありません。
脳と血管と免疫がバランスを崩すことで起こるという、新しい考え方が出てきています。
将来、もっと良い治療法が出てくるかもしれないけど、
いま私たちができるのは「脳を炎症から守ること」なんです。
今日からできること、1つやってみませんか?
おいしく治そう【うつ病対策】
🍽️ おいしく治そう【うつ病対策】
~脳と腸を整える、こころにやさしい食事のすすめ~
🧠 なぜ「食事」がうつ病と関係あるの?
うつ病は、単なる「気分の落ち込み」ではなく、脳の神経伝達物質(セロトニン・ドーパミン・ノルアドレナリンなど)の働きの不調によって引き起こされる医学的な疾患です。
近年の研究では、脳の働きを支える神経伝達物質の合成には“食事”が深く関係していることが分かってきました。
📚 エビデンスで見る「食事とうつ病」の関係
✅ SMILES試験(BMC Medicine, 2017)
オーストラリアで行われたこの研究では、うつ病の方に地中海型食(野菜・魚・ナッツ・全粒穀物など)を12週間続けてもらったところ、
✨ うつ症状の有意な改善が認められました。
つまり「何を食べるか」が、薬だけでは補えない気分の安定に影響するという結果です。
🌱 セロトニン・ドーパミンを支える栄養素とは?
栄養素 | 主な役割 | 多く含む食品 |
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トリプトファン | セロトニンの材料 | 大豆製品、卵、バナナ |
チロシン | ドーパミンの材料 | チーズ、鶏肉、魚 |
ビタミンB群 | 合成と代謝サポート | 緑黄色野菜、レバー、海藻 |
鉄・亜鉛・Mg | 酵素・神経機能維持 | ひじき、ナッツ、豆類 |
🦠 腸を整えれば、こころも整う? ― 腸脳相関(Gut-Brain Axis)
実は、セロトニンの約90%が腸で作られていることをご存知ですか?
腸内環境の乱れは、炎症や不安の増加に直結します。
そのため「腸を整えることは、脳を整えること」にもつながるのです。
🍽️ 1日のモデルメニュー(抗うつ+腸内環境ケア)
朝食:
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オートミール+ヨーグルト+バナナ+ナッツ
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ゆで卵
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具だくさん味噌汁
昼食:
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サバの塩焼き
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雑穀ご飯
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納豆+青菜のおひたし
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野菜の味噌汁
夕食:
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鶏むね肉のグリル
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焼き野菜(オリーブオイル)
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豆腐ときのこの味噌汁
💬 よくある質問(Q&A)
Q:薬を飲んでいれば、食事は関係ないの?
→ いいえ。食事は神経伝達物質の“材料”です。薬と食事は“両輪”です。
Q:甘いものをやめられません。
→ セロトニン不足や血糖の乱れが原因かもしれません。まずは食事のリズムとたんぱく質を意識して。
🩺 医師からのひとこと
「こころの健康は、気のせいじゃない。“気分”は“食べ物”から変えられる。」
一気に変える必要はありません。
まずは朝食を整えることから、今日から始めてみませんか?
おいしく治そう【高血圧】
🧂おいしく治そう【高血圧】
減塩だけじゃない、カリウム・マグネシウム・食物繊維の力
「減塩」だけでは血圧は下がらない?
高血圧の食事指導といえば、長らく「減塩」が定番でした。
もちろん塩分を控えることは大切ですが、それだけでは不十分だということが、今では明確になっています。
実は――
「ある栄養素を増やすことで、血圧が自然に下がっていく」
という科学的根拠があるのです。
今回は、野菜・果物・ナッツ・発酵食品など、“美味しく食べて血圧を下げる方法”をご紹介します。
1. DASH食とは?科学的に証明された高血圧対策食
1997年、アメリカで発表された「DASH食(Dietary Approaches to Stop Hypertension)」は、
減塩と栄養バランスの両面から血圧を改善する食事法として、世界中で採用されています。
✅ DASH食の特徴
増やす食品 | 減らす食品 |
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野菜・果物・全粒穀物 | 塩分・加工食品 |
低脂肪乳製品 | 飽和脂肪酸(脂身・揚げ物) |
ナッツ・種子・豆類 | 甘い飲料・スナック菓子 |
🧪 科学的エビデンス:DASH試験(NEJM, 2001)
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DASH食群は、通常食群と比較して収縮期血圧が平均5.5mmHg、拡張期で3.0mmHg低下。
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高血圧の人では、**さらに顕著な降圧効果(平均11.4mmHg)**が見られました。
2. 鍵を握る3大ミネラルと食物繊維
血圧に影響する栄養素は「塩分(ナトリウム)」だけではありません。
むしろ注目すべきは、体の「ミネラルバランス」です。
✅ カリウム:余分なナトリウムを体外へ排出
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豊富な食品:バナナ、ほうれん草、アボカド、納豆、じゃがいも
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ポイント:加工食品ばかり食べると、カリウムが不足しがち
✅ マグネシウム:血管の収縮を抑制、降圧作用
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豊富な食品:アーモンド、ひじき、豆腐、全粒粉、カカオ70%以上のチョコレート
✅ 食物繊維:腸内環境を整え、炎症とインスリン抵抗性を改善
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豊富な食品:野菜・海藻・キノコ・玄米・大麦
3. 発酵食品も“おいしく降圧”
納豆・味噌・ぬか漬けなど、日本の発酵食品には
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血管拡張作用(ナットウキナーゼなど)
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腸内フローラ改善による代謝調整
といった効果が期待されています。
✅ 注意点:市販の味噌汁や漬物は塩分が多いため、「手作り」「薄味」がカギ。
4. ナッツの力を侮るなかれ
ナッツは脂質が多いからと避けられがちですが、DASH食では**毎日1握り(25〜30g)**を推奨。
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不飽和脂肪酸(オメガ9・オメガ3)が血管を守る
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マグネシウム・食物繊維が豊富
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食後血糖の上昇も緩やかに
おすすめは、塩分・油不使用のミックスナッツや、くるみ・アーモンド・ピスタチオ。
5. 今日からできる!実践ポイント
🍅 朝食に:
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野菜スープ+全粒粉パン+ヨーグルト+ナッツトッピング
🥗 昼食に:
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野菜たっぷりの味噌汁+もち麦ごはん+納豆
🥕 夕食に:
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青魚のグリル+蒸し野菜+キノコのマリネ+ぬか漬け
🧂 減塩の工夫:
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出汁(かつお・昆布・干し椎茸)やスパイスを活用
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「塩をかける」より「漬ける」「混ぜる」で塩分が少なくて済む
まとめ:血圧は「おいしく整える」時代へ
✅ 減塩だけでなく、カリウム・マグネシウム・食物繊維をしっかり摂る
✅ DASH食は、薬に頼らず血圧を改善できる可能性を持った食事法
✅ 和食や発酵食品の工夫で、日本人にも取り入れやすい
📌 医師からのひと言
高血圧の本質は「血管のトラブル」です。
“血管を元気にする食材”を日々の食事に取り入れることで、降圧剤に頼りすぎない生活も実現可能です。
おいしさを我慢せずに、体の中から整えていきましょう。
おいしく治そう【糖尿病】
🍽️ おいしく治そう【糖尿病】
糖質を「正しく減らす」ことで、血糖コントロールはもっとラクになる
はじめに:糖尿病は“我慢”の病気じゃない
「糖尿病=一生薬と付き合うもの」「甘いものを断つのが大変」――そう思っていませんか?
でも実は、“糖質を正しく減らす”だけで、血糖コントロールは驚くほど改善するということが、近年の研究で明らかになっています。
今回は、最新の栄養医学に基づいて、無理せず、おいしく続けられる糖尿病対策を紹介します。
1. 低炭水化物食で血糖値が安定する理由
糖尿病の大きな特徴は、食後の血糖値が急上昇しやすいことです。
その原因は、主に「炭水化物(糖質)」の摂取量と質にあります。
炭水化物が消化・吸収されると、血糖が一気に上昇し、インスリン分泌が必要になります。
しかし、インスリン抵抗性がある糖尿病患者ではこの調整がうまくいかず、高血糖が持続します。
→ 糖質の量をコントロールするだけで、血糖の上昇を抑えることが可能です。
2. 科学的根拠:Virta Health研究の衝撃
アメリカで行われたVirta Healthの研究(2024年)では、以下のような驚くべき結果が報告されています。
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対象:2型糖尿病患者数百名
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方法:リモート医療支援+ケトジェニック食(糖質20〜50g/日)を5年間継続
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結果:
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約60%以上の患者が糖尿病の寛解状態(HbA1c<6.5%)
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約半数がインスリンを中止
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体重、脂質、肝機能マーカー、炎症マーカーも大幅に改善
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📖 Virta Health 5年研究(PubMedリンク)
3. 日本人でも有効:国内研究の紹介
日本人を対象とした比較試験(2020年, 糖尿病誌)でも、1日130g未満の糖質制限食を取り入れることで、
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HbA1cが平均0.7〜1.2%改善
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空腹時血糖値、中性脂肪の改善
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心理的な満足度も高い
という結果が得られています。
4. GI値・GL値を活用して「賢く糖質を選ぶ」
食後血糖を上げやすい食品かどうかを見分ける指標が「GI値(グリセミック・インデックス)」と「GL値(グリセミック・ロード)」です。
食品例 | GI値 | 備考 |
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白米 | 約84 | 高GI |
全粒粉パン | 約50 | 中GI |
玄米 | 約55 | 中GI(低め) |
大豆、ナッツ類 | 20〜30 | 低GI・低GLで優秀 |
さつまいも | 約55 | 食物繊維が多く低め |
ポイントは「同じ炭水化物でも、質によって血糖への影響が違う」ということ。
5. 今日からできる!実践アドバイス
✅ 主食の見直し
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白米→雑穀米・玄米
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パン→全粒粉パン・ブランパン
✅ 糖質の「かさ増し」テク
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ご飯の量を減らし、豆腐や野菜で満足感アップ
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ナッツやチーズで間食を工夫
✅ タンパク質・脂質を恐れない
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卵、肉、魚、ナッツ、オリーブオイルなどを適量しっかり
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食事の満足感と血糖安定に貢献します
まとめ:糖質制限は制限ではなく“選択”
糖質制限=食の楽しみを奪う、ではありません。
むしろ「賢く選ぶ」ことで、血糖コントロールがラクになり、食事がもっと楽しくなるのです。
📌 医師からのひと言
糖尿病の食事指導は「カロリー制限」から「質と構成の最適化」へと進化しています。
食事で血糖が安定すれば、薬も減らせる可能性があります。
ぜひ、おいしく・ムリなく・科学的に、糖尿病コントロールを始めてみましょう。