2025-05-25 12:22:00

「百日咳」は子どもの病気?実は中高生や大人にも増えています【ワクチンと検査の最新事情】

 

「百日咳」は子どもの病気?実は中高生や大人にも増えています【ワクチンと検査の最新事情】

こんにちは。

最近、中高生や成人の方で咳が長引くというご相談が増えています。
風邪だと思っていたら、実は「百日咳(ひゃくにちぜき)」だったという例も少なくありません。

今回は、百日咳の症状、検査、予防、そしてワクチンの最新事情について、医師の視点からわかりやすく解説します。

🤧 百日咳とは?── 長く続く咳には要注意

百日咳は、Bordetella pertussis(ボルデテラ・パートゥシス)という細菌によって起こる急性呼吸器感染症です。

主な症状:

  • 発作的な咳(特に夜間)

  • 咳の後、「ヒューッ」と息を吸い込む音(吸気性笛声)

  • 2週間以上続く咳(成人では特徴が不明瞭なことも)

特に乳児は無呼吸、低酸素発作、肺炎、けいれんを起こすことがあり、入院や集中治療の対象となることもあります。

👶 現在、乳児には「五種混合ワクチン」が使用されています

日本では、乳児に対しては定期接種として**五種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)**が広く使われています。

予防する感染症 内容
ジフテリア(D) 喉頭炎・神経麻痺など
百日咳(P) 長引く咳、乳児では重症化しやすい
破傷風(T) 土壌菌によるけいれん・呼吸障害
ポリオ(IPV) 麻痺性疾患
Hib感染症(Hib) 髄膜炎、敗血症など

生後2か月から接種を開始し、4回のスケジュールで免疫をつけます。

🧑 成人・妊婦の百日咳ワクチンはどうなっているの?

✅ 海外の標準は「Tdap(成人用三種混合)」ワクチン

米国、英国、オーストラリアなどでは:

  • 妊婦に毎妊娠でTdap接種

  • 中高生(11〜12歳)にTdapブースター

  • 高齢者・家族も含めた囲い込み戦略(コクーニング)

⚠ 日本では成人用Tdapが未承認 → 小児用DPTで代用するケースあり

現在、日本では成人用の百日咳ワクチンは未承認です。
そのため、以下のような例外的対応が取られています:

  • 妊婦や乳児同居家族に対して、小児用のDPT(三種混合)を1回だけ任意接種

  • これは「適応外使用」ですが、静岡Study(2020–2022)では、安全性に大きな問題は報告されていません

🧪 「リボテスト百日咳」で迅速診断が可能です

当院では、15分程度で結果が出る迅速抗原検査「リボテスト®百日咳」を導入しています。

特徴 内容
検体 鼻咽頭ぬぐい液
検査法 イムノクロマト法(簡易キット)
感度・特異度 感度:約70%、特異度は高い(PCRよりやや劣る)
推奨使用タイミング 発症後3〜7日以内が最も検出率が高い

咳が始まって間もない段階での診断に有用で、早期治療や感染拡大の防止に役立ちます。

💊 百日咳の治療と感染対策

  • 抗菌薬(マクロライド系)を早期に5日間投与

  • 学校保健安全法では、「適切な治療開始後5日間」出席停止

  • 乳児や妊婦への二次感染を防ぐため、家族内での注意喚起と接触制限も重要です

📝 まとめ

項目 内容
百日咳とは? 長引く咳を引き起こす細菌感染症
乳児への予防 五種混合ワクチン(定期接種)で予防
成人・妊婦の対策 日本では小児用DPTを任意で代用する例あり
診断法 抗原検査(リボテスト)やPCR、抗体検査
治療 抗菌薬+感染拡大防止の行動指導

📣 咳が続くときは早めの受診を!

  • 「咳が2週間以上続く」

  • 「家に赤ちゃんや妊婦がいる」

  • 「学校や職場で流行っている」

そんなときは、百日咳を疑い、医師の診察と検査を受けましょう。

当院では、検査・治療・ワクチン相談まで総合的に対応しています。
お気軽にご相談ください。

 

2025-04-18 18:59:00

🧒両ほほがまっ赤に?──「伝染性紅斑」が流行しています

 

 

 

 

🧒両ほほがまっ赤に?──「伝染性紅斑」が流行しています

最近、当院にも「伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)」と診断されるお子さんが続けて受診されています。

ある小学校では、10人以上の患者さんが出たという話もありました。地域的に小さな流行が起こっている可能性があります。

📌 伝染性紅斑って、どんな病気?

「伝染性紅斑」は、ヒトパルボウイルスB19というウイルスによって引き起こされる感染症です。
子どもに多く見られ、特に春から初夏にかけて流行する傾向があります。

最大の特徴は、なんといっても顔の紅斑です。

😳 顔が「ビンタされたみたい」ってどういうこと?

発熱や風邪のような症状のあと、突然、両ほほが真っ赤になります。

その見た目が「平手で叩かれたように」見えるため、英語では「slapped cheek syndrome(ビンタ顔症候群)」とも呼ばれています。

顔の紅斑が出た頃には、もうウイルスの感染力はほとんどなくなっています。
つまり、見た目は派手でも、人にうつす心配はほぼない時期です。

🧩 体や手足にも、網目状の模様が?

数日すると、腕や足、体にレースのような紅斑が現れることもあります。

この発疹は、運動後や入浴後、日光を浴びたあとに濃くなることがありますが、やがて自然に消えていきます。

🏫 学校や園は休まなくていいの?

発疹が出た時点では感染力がほぼ消えているため、登園・登校は可能です。
ただし、発熱や体調不良があれば無理をせず、しっかり休ませてあげてください。

🤰 妊婦さんはご注意を

パルボウイルスB19は、妊娠中の方が感染すると、まれに胎児に影響(胎児水腫など)を及ぼすことがあります。
お子さんが伝染性紅斑と診断された場合、妊娠中のご家族がいる場合は、念のため産婦人科に相談することをおすすめします。

🩺 治療は?ワクチンはあるの?

治療は特別な薬は不要で、自然に回復します。
解熱薬や痒み止めなど、症状に合わせた対症療法が行われます。

残念ながらワクチンや特効薬はありません。

👐 最後に:流行時期だからこそ、安心の知識を

見た目がインパクトのある「伝染性紅斑」ですが、ほとんどのお子さんは元気に回復します。

ただし、ご家族に妊婦さんがいる場合や、基礎疾患(溶血性貧血など)のある方が同居している場合は注意が必要です。

不安な症状があれば、遠慮なくご相談ください。

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2025-04-15 19:12:00

なぜ今「百日咳」が増えているの?

 

😷 なぜ今「百日咳」が増えているの?コロナとの意外な関係とは【2025年最新版】

「最近、子どもの咳が長引いてる…」
「風邪かと思ってたら、2週間以上も咳が止まらない!」

そんなときは、もしかするとそれ「百日咳(ひゃくにちぜき)」かもしれません。

そして今、百日咳が全国的に増加傾向にあるのをご存じですか?
実はその背景には、新型コロナウイルスの流行との意外な関係があるんです。

🦠 百日咳ってどんな病気?

百日咳は、細菌による呼吸器感染症です。名前の通り、長引く咳(100日咳)が特徴です。

主な症状:

  • 2週間以上続くしつこい咳

  • 発作のように止まらない咳

  • 咳のあと「ヒューッ」と音がする(吸気性笛声)

  • 咳き込みすぎて吐いてしまうことも

特に赤ちゃんや高齢者では重症化のリスクがあります。

📈 2025年、なぜ百日咳が増えているの?

🧬 コロナ禍で「免疫の貯金」が減っていた!?

2020〜2022年、みんながマスク・手洗い・外出自粛をしていたことで、百日咳を含む多くの感染症が一時的に減少しました。

でもその反面、体が免疫をつける機会も少なくなっていたのです。

これを医学的には「免疫の負債(Immunity Debt)」と呼びます。
つまり、「かかるはずだった感染症にかからなかった分、今になってまとめて流行している」という現象です。

🧪 コロナにかかると、免疫が弱くなるの?

一部の研究では、新型コロナにかかると一時的に免疫機能が落ちることが報告されています。

  • 風邪を繰り返す

  • 咳がなかなか治らない

  • ワクチンを打っても抗体がつきにくい

こういった「免疫のリセット状態」が、百日咳の再感染を起こしやすくしている可能性があるのです。

🧪 いまは15分でわかる!百日咳の検査が進化

「百日咳かも?」と思ったら、病院で鼻の奥をぬぐうだけの検査で診断できるようになりました。

✅ リボテスト百日咳(Ribotest Pertussis)

  • 検査時間:約15分!

  • 感度・特異度ともに高い

  • 全国の医療機関で導入が進んでいます

早めに診断がつけば、抗菌薬(アジスロマイシンなど)で治療でき、他の人にうつすのも防げます。

💉 予防がなにより大切!

赤ちゃんには:

  • 生後3か月からDPTワクチン、4種混合、5種混合(定期接種)をしっかり受けましょう

大人には:

  • 実は免疫は10年ほどで切れるので、再感染する人も

  • 妊婦さんや育児中の家族には追加接種(TdapやDPT)も検討されます

赤ちゃんを守るためには、周囲の大人が免疫を持っていることが大切です。

✅ まとめ

💡 ポイント 📌 内容
百日咳が増加中 2025年、全国的に報告数が上昇
コロナと関係あり? 免疫低下や感染機会の抑制が関係
簡単な検査あり 15分で診断できる抗原検査が登場
ワクチンで予防できる 赤ちゃんも大人も、接種が大事!

🗣 おまけ

コロナの影響はもう終わったと思っていたら…
実は、他の病気にも「静かに」影響を与えていたんですね。

百日咳は昔の病気ではなく、今この時代にも私たちが気をつけるべき感染症です。
長引く咳、赤ちゃんの急な咳き込み…。そんなときは早めに医療機関で相談してみてください。