サリーとコウ、光の守護霊
サリーとコウ、光の守護霊
ある日のこと、サリーという小さなチワワと、
「コウ兄ちゃん、怖いよ……何かが私たちを見ている気がする……
コウは優しくサリーの頭を鼻先で触れ、低い声で言いました。「
「どうやって乗り越えればいいの?」
コウは目を細めて、遠い昔を思い出すように言いました。「昔、
「守護霊……?」サリーの目が少しだけ輝きました。
「そうだよ。でも、ただ呪文を唱えるだけではダメなんだ。」
その時、森の奥から低いうなり声が聞こえてきました。
コウは落ち着いた声で言いました。「サリー、まず深呼吸だよ。
サリーは目を閉じ、震える体を必死に落ち着けようとしました。
「そう、それでいいんだ、サリー。」コウが力強く言いました。「
サリーは勇気を振り絞り、小さな声で呟きました。「
すると、サリーの小さな体から眩しい光が溢れ出しました。
「できたよ……コウ兄ちゃん!」
コウは満足そうに微笑みながら言いました。「よくやったね、
その日以来、サリーは恐怖を感じるたびに、
サリーとコウ、風の丘の冒険
サリーとコウ、風の丘の冒険
サリーはまだ生後6ヶ月の小さなチワワでした。彼女は元気いっぱいで、好奇心旺盛でしたが、一つだけ苦手なことがありました。それは、急に大きな音がしたり、新しい場所に行ったりすると、怖くて動けなくなってしまうことでした。心臓がバクバクして足が震え、時にはその場でじっと固まってしまうこともありました。
一方、コウは13歳になる黒柴でした。穏やかで賢い彼は、家族や近所の犬たちから信頼される存在でした。年老いて毛に白い部分が混じり始めたコウは、若い頃に数えきれない冒険を経験してきた、知恵の豊かな犬でした。
ある日、サリーとコウは家族と一緒に「風の丘」という場所に散歩に出かけました。その丘は見晴らしが良く、美しい草原が広がることで知られていました。しかし、丘に着いた途端、サリーは突然怯えました。丘の上を強い風が吹き抜け、木々が大きな音を立てて揺れていたのです。
サリーは地面に伏せて動かなくなりました。「怖いよ、コウ兄ちゃん!こんなところ、帰りたい!」と震えながら言いました。
コウはそっとサリーの隣に座り、小さな体に鼻先を優しく触れました。「大丈夫だよ、サリー。怖いのは当たり前さ。でも、僕が一緒にいるから安心して。ゆっくりでいい、一歩ずつ進んでみようか。」
「でも、足が動かない……」サリーは涙ぐみながら答えました。
コウは静かに微笑みながら言いました。「僕も若い頃、初めての雷に怯えた時は同じだったよ。耳を塞ぎたくなるほど怖かった。でもその時、気づいたんだ。怖いと思う気持ちは、体を守るためのサインなんだって。だから、怖がる自分を責めなくていいんだよ。」
「じゃあ、どうすればいいの?」サリーは不安そうに尋ねました。
「まずは、風の音にじっと耳を傾けてみよう。それがどんな音なのか、どんな感じがするのかを感じてみるんだ。怖いと思わなくてもいい。まずはただ感じることが大切なんだよ。」コウはゆっくりと自分の呼吸を整えながら、サリーを落ち着かせました。
サリーはコウの言葉を思い出し、耳を立てて風の音に集中してみました。最初は相変わらず怖かったけれど、しばらくすると風が草を揺らす優しい音や、木々がざわざわと語り合うような音が聞こえてきました。
「ちょっとだけ……慣れてきたかも。」サリーは小さな声で言いました。
「いい調子だよ、サリー。その調子で、今度は前足を一歩だけ出してみよう。」コウが優しく促すと、サリーは勇気を振り絞り、一歩前へと踏み出しました。
それから少しずつ、サリーは自分のペースで進みました。途中でまた怖くなり立ち止まることもありましたが、そのたびにコウは「大丈夫だよ。焦らなくていい」と声をかけ続けました。
ついに丘の頂上にたどり着いたとき、サリーは驚きと喜びで胸がいっぱいになりました。眼下には広がる緑の草原と、美しい青空が広がっていたのです。
「見て、コウ兄ちゃん!丘の上からの景色がこんなに綺麗だったなんて!」サリーは興奮して声を上げました。
コウはにっこりと笑い、静かに答えました。「そうだね、サリー。恐怖を感じても、一歩ずつ進むことで、こんなに素晴らしい景色に出会えるんだよ。」
その日以来、サリーは新しい場所や大きな音が怖くても、コウの言葉を思い出しながら少しずつ進むようになりました。そしていつか、自分もコウのように、他の犬たちを励ます存在になりたいと心から思うようになりました。
コウとサリーの物語
コウとサリーの物語
ここは、古い家。
その家には、13歳の黒柴犬・コウが暮らしていました。
コウは穏やかで優しい犬で、家族みんなに愛されていました。
ある日、新しい家族がやってきました。
それは、生後3か月の小さなチワワのサリーです。
サリーは元気いっぱいで、家の中を駆け回って遊びますが、外に出るのは少し怖いようでした。
毎日、コウは楽しそうに散歩に出かけます。
サリーは窓からその様子をじっと見つめていました。
「お外って、怖くないのかな?」
そう思いながら、サリーは少しずつ外に出る練習を始めました。
最初は恐る恐るだったサリーも、コウの後をついて歩くうちに、外の世界が楽しい場所だと気づきました。
やがて、二匹は一緒にたくさんの場所を冒険するようになりました。
緑の公園、川沿いの道、広い原っぱ…どこへ行っても楽しい時間が流れていました。
しかし、長い間元気だったコウの体が、病気でだんだん弱っていきました。
「コウ、大丈夫?」
サリーは心配そうにコウのそばに寄り添い、少しでも元気づけようとしました。
そして、ある日、コウとのお別れの日がやってきました。
家族もサリーも悲しみに包まれました。
それでも、サリーは勇気を振り絞り、コウから教わったことを胸に、毎日散歩に出かけるようになりました。
コウが好きだった公園や川沿いの道を訪れ、思い出に浸ることもありましたが、サリーは新しい冒険を楽しむことを忘れませんでした。
サリーはどんなときも、コウとの友情を心に刻んでいました。
家の中では、コウが好きだった場所で少し寂しそうに目を閉じることもあります。
でもサリーは、コウからもらった思い出と勇気を胸に、今日も元気に歩いていくのでした。
おしまい