更年期女性に多い「メノハンド」とは?
更年期女性に多い「メノハンド」とは?原因・症状・対処法を解説
こんにちは。今回は更年期女性に多く見られる「メノハンド」について、最新の知見をもとに解説します。
手のこわばりや痛みでお悩みの方に役立つ情報をまとめました。
👋 メノハンドとは?
「メノハンド」とは、日本手外科学会が2023年に提唱した新しい概念で、更年期に女性ホルモン(エストロゲン)が減ることで起きやすい、手や指のトラブルをまとめた呼び名です。手の関節・腱・神経に起こる複数の症状を包括しています。
🤔 主な症状
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朝、手がこわばって動かしにくい
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指の曲げ伸ばしがしにくい
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握力が弱くなり、物を落としやすい
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手首や指の痛み、腫れ
こうした症状は、日常生活の中で「ペットボトルのキャップを開けにくい」「スマホを長く持っていられない」といった形で現れます。
🩺 関連する病気
メノハンドは、以下の病気を含むことがあります:
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ヘバーデン結節・ブシャール結節(指の関節の変形)
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ばね指(指の引っかかり)
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ド・ケルバン病(手首の腱の炎症)
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手根管症候群(手のしびれ、夜間痛)
🧬 なぜ起こるの?
更年期に入ると女性ホルモン(エストロゲン)が減少します。エストロゲンには炎症を抑える作用や、腱や靱帯・軟骨を守る働きがあります。そのため、
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炎症が起こりやすくなる
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組織がもろくなる
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回復力が低下する
といった変化が重なり、手の不調が目立ちやすくなります。
👐 対処法とセルフケア
1. 手を温める
お湯に浸す、蒸しタオルを当てる → 血流を促進し、こわばりを和らげます。
2. 腱滑走運動(けんかっそううんどう)
代表的な手の体操です。痛みが強いときや炎症が急に強まったときは無理に行わず、安静も大切です。
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Arrow:指をまっすぐ伸ばす
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Claw:指先だけ曲げる
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Tabletop:付け根を曲げ、指先は伸ばす
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Fist:こぶしを作る
👉 各動きを5秒キープ × 5回
3. 握力トレーニング
柔らかいボールを握ったり、つまんだりして手指の筋肉を鍛えると、物を持ちやすくなります。
4. 食事・栄養
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大豆製品(豆腐・納豆・豆乳)やエクオール
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魚の油(オメガ3脂肪酸)
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ビタミンD・E、カルシウム
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野菜・果物に含まれる抗酸化成分
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適正体重の維持、禁煙、バランスの良い食生活も重要
5. 医療での治療
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湿布や痛み止めの薬
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炎症が強い場合はステロイド注射
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ホルモン補充療法(HRT)※医師と相談
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手術が必要になる場合もあります(ばね指・手根管症候群など)
🔎 鑑別診断も大切
似た症状を起こす病気として、以下が挙げられます。
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関節リウマチ(RA)
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痛風・偽痛風(CPPD)
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糖尿病性手症候群
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甲状腺疾患
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全身性エリテマトーデス(SLE)など膠原病
自己判断せず、必要に応じて専門医に相談することが大切です。
🌸 まとめ
「メノハンド」は更年期女性に多い手の不調の総称です。セルフケア(温める・動かす・栄養をとる)を取り入れ、必要に応じて医療機関を受診することで、日常生活を快適に保つことができます。
👉 手の違和感が続くときは、早めの対応が安心につながります。
🌸 女性ホルモンの話:からだとこころを支えるエストロゲンのちから
🌸 女性ホルモンの話:からだとこころを支えるエストロゲンのちから
1️⃣ 女性ホルモンとは?
女性ホルモンとは、主に卵巣から分泌されるホルモンで、女性の心と体の健康を調整する大切なメッセンジャーです。主なホルモンは2種類:
ホルモン | 主な役割 |
---|---|
エストロゲン(E2) | 妊娠の準備、肌や血管、骨、脳、免疫の健康維持 |
プロゲステロン(P4) | 妊娠維持、体温調整、感情の安定、子宮内膜の変化 |
2️⃣ 一生の中で変化するホルモン
ライフステージ | ホルモンの変化 | 主な影響 |
---|---|---|
思春期(10代) | 急増 | 初潮・胸の成長・情緒変化 |
性成熟期(20〜30代) | 安定 | 妊娠可能・月経周期の安定 |
周閉経期(40代後半) | 不安定 | 月経不順・PMS・気分の波 |
閉経・更年期(50代) | 急減 | ほてり・不眠・イライラ・骨量減少 |
高齢期(60代以降) | 極低値で推移 | 骨粗鬆症、認知機能低下、心血管疾患リスク上昇 |
3️⃣ エストロゲンが守っているもの
エストロゲンは、単に妊娠のためのホルモンではありません。全身の多くの臓器を守る働きがあります。
臓器・系統 | 作用 |
---|---|
🧠 脳 | 記憶力・集中力の維持、気分安定、認知症予防 |
❤️ 血管 | 動脈硬化の抑制、コレステロール調整 |
🦴 骨 | 骨吸収の抑制、骨密度維持 |
👩⚕️ 皮膚・粘膜 | ハリ・潤いの維持、膣の健康 |
💪 筋肉・代謝 | 筋量維持、脂肪の蓄積を抑制 |
🛡 免疫 | 抗炎症・免疫調節(自己免疫との関連も) |
4️⃣ エストロゲンが減るとどうなる?
閉経後、エストロゲンは10分の1以下に急減。
すると、以下のような全身的な変化・不調・疾患が出やすくなります:
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ホットフラッシュ、動悸、睡眠障害
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膣の乾燥、性交痛、尿トラブル
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骨粗鬆症、骨折のリスク
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動脈硬化、心筋梗塞、脂質異常症
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気分の落ち込み、認知症リスク
5️⃣ 女性ホルモンが減っても元気でいるために
✅ 選択肢のひとつ:ホルモン補充療法(HRT)
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閉経後の症状緩和、骨や脳の保護に有効
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60歳未満、閉経後10年以内の開始が最も効果的かつ安全
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副作用や禁忌もあるため、専門医との相談が必須
✅ その他のケア
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運動(骨・筋肉・脳を保つ)
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食事(カルシウム・ビタミンD・オメガ3など)
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睡眠とストレスケア(自律神経とホルモンの関係)
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女性ホルモンを助ける栄養素・漢方・サプリも併用可能
💬 最後に
女性ホルモンは、人生のあらゆるステージで、
あなたのからだとこころに静かに、けれど確かに働いています。
ホルモンと上手につき合いながら、自分の変化を前向きに受け止め、ケアしていくことが、健康で美しく年を重ねるためのカギです。