【胸の痛みが心臓じゃなかった!?】肋軟骨症候群とは?
【胸の痛みが心臓じゃなかった!?】肋軟骨症候群とは?
胸がズキッと痛い…でも検査は異常なし?
「胸が痛い」と聞くと、多くの人が「心臓の病気かも…」と不安になりますよね。
でも、実際には心臓や肺に異常がなくても、胸の前側が痛くなることがあります。
その代表的な原因が「肋軟骨症候群(ろくなんこつしょうこうぐん)」です。
肋軟骨症候群とは?
肋軟骨症候群は、肋骨と胸の骨(胸骨)をつなぐ「軟骨部分」が炎症を起こして痛みが出る状態です。
これは命に関わる病気ではありませんが、胸の痛みというだけで不安になる方が多いため、正しい理解がとても大切です。
どんな人がなりやすい?
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姿勢が悪い(猫背・巻き肩)
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デスクワークが多い
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運動や力仕事をよくする
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咳やくしゃみをよくしていた
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ストレスがたまっている
このような方に、肋軟骨部分に負担がかかりやすくなり、痛みの原因になります。
主な症状の特徴
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胸の前側(特に肋骨のつけ根)が痛む
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押すとハッキリ痛い場所がある
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深呼吸、咳、体をひねると痛む
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痛みはズキズキ、チクチク
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安静にしていれば和らぐ
ポイントは、「押すと痛い」という点です。心臓の痛みとは違う特徴です。
心臓の病気とどう違うの?
心臓の病気(狭心症や心筋梗塞)では、押しても痛くないのが一般的です。
また、心臓由来の胸痛は、運動時に悪化したり、冷や汗や吐き気を伴ったりすることがあります。
肋軟骨症候群では、動作や姿勢の変化で痛みが増減し、「この場所が痛い!」とはっきりわかるのが特徴です。
診断はどうするの?
肋軟骨症候群は、検査ではっきり写る病気ではありません。
以下のような検査をして、重大な病気がないことを確認した上で診断します。
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心電図(心臓の病気がないか)
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胸部レントゲン(肺や骨の異常がないか)
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血液検査(炎症や感染の確認)
押すと痛い場所があって、他の検査が正常なら「肋軟骨症候群」と診断されます。
治療方法は?
多くの場合は自然に良くなるため、基本的には以下のような対応でOKです。
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痛み止め(ロキソニンなど)を使う
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胸を温める(入浴やホットパック)
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痛みが出る動作を控える
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姿勢に気をつける(猫背改善など)
症状が強いときは、整形外科などで注射(局所麻酔)をすることもあります。
注意するべき症状
次のような症状がある場合は、肋軟骨症候群ではない可能性もあるため、早めの受診が必要です。
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胸の痛みが運動中に悪化する
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痛みがどんどん強くなる
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息が苦しい
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発熱がある
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肩や腕、顎まで痛みが広がる
迷ったときは、「命に関わる病気ではないか?」を優先して考えることが大切です。
まとめ
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肋軟骨症候群は、胸の前側の軟骨に炎症が起こる良性の病気です。
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押すと痛む、深呼吸で痛む、動きで痛みが変わるのが特徴です。
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命に関わることはありませんが、心配なときはきちんと検査を受けて安心しましょう。
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姿勢や生活習慣の見直しで再発予防にもつながります。
📌 ご相談ください
胸の痛みがあると誰でも不安になります。
「もしかして心臓?」と思ってしまうのは当然のことです。
気になる症状があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
🦵「寒くなると膝が痛む」――これって変形性膝関節症?
🦵「寒くなると膝が痛む」――これって変形性膝関節症?
〜町の保健室長が自分の膝痛を通して考えたこと〜
🧳 はじめに
先日の連休を利用して、久しぶりに故郷の北海道へ帰省してきました。
朝晩の空気はもうすっかり冬。澄んだ空気と広い空に癒やされました。
ところがその数日前から、左ひざの内側がズキズキ痛むようになったのです。
「寒くなったせいか?」「どこかでひねったのか?」と考えながらも、
とりあえず湿布と痛み止めでごまかし、なんとか出発の日までに痛みは落ち着きました。
ただ、歩くたびに気になったこの痛み。
医師である私も「これはもしや…」と思わず自分の膝を診察してしまいました。
🩺 これがまさに「変形性膝関節症」のはじまり
変形性膝関節症(へんけいせい・ひざ・かんせつしょう)は、
膝の関節軟骨がすり減って炎症や痛みが出る中高年に多い関節疾患です。
主な原因
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加齢による軟骨のすり減り
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体重増加による負担
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O脚傾向
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過去のスポーツやケガ
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筋力低下、特に太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)の衰え
日本では、40歳以上の約6割が膝の変形を持つとも言われています。
❄️ なぜ寒くなると膝が痛むのか?
寒さや気圧の変化が、膝の痛みを悪化させることはよくあります。
理由は大きく3つあります👇
| 要因 | 仕組み |
|---|---|
| ① 血流低下 | 寒さで筋肉が硬くなり、関節の動きが悪化 |
| ② 関節液の粘度上昇 | 冷えると関節液が“重く”なり、動かしにくくなる |
| ③ 気圧低下 | 関節内圧が上がり、痛みを感じやすくなる |
「冷えると膝が痛い」のは、気のせいではありません。
実際に、温度や気圧の変化で関節内の感覚神経が敏感になることがわかっています。
💡 自分でできる膝ケアの基本
寒い時期の膝痛は、「冷え+使いすぎ+筋力低下」の複合的な結果です。
薬や湿布だけでなく、毎日の習慣がとても大切です。
🧘♀️ 1. 太もも(大腿四頭筋)を鍛える
膝関節を支えるのは、太ももの筋肉。
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椅子に座って片脚を伸ばし、5秒キープ(10回×3セット)
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膝裏にタオルを入れて押しつける「クアドラセッツ運動」も効果的
🧣 2. 膝を冷やさない
就寝時の冷えは大敵。
サポーターやレッグウォーマーで膝を温めるだけで痛みが軽減する人もいます。
🚶♂️ 3. 無理のない範囲で歩く
痛みがあるからと動かさないと、筋肉が落ちてさらに悪化します。
1日20分程度のウォーキングを習慣に。
🥗 4. 栄養も関節の味方
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魚(オメガ3脂肪酸)
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コラーゲン・ビタミンC
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ビタミンD(骨と筋肉の維持に必須)
これらを意識して摂りましょう。
🧪 もし痛みが続く場合は?
3週間以上痛みが続く場合や、腫れ・熱感がある場合は、
整形外科でのX線(レントゲン)検査をおすすめします。
必要に応じて、
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ヒアルロン酸注射
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理学療法(リハビリ)
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再生医療(PRP療法や脂肪幹細胞療法)
など、症状に合わせた治療が検討されます。
🧠 まとめ 〜膝は「使い方」で守れる関節〜
膝の痛みは「老化」ではなく、「サイン」です。
体の声を無視せず、早めにケアすれば進行を防ぐことができます。
私自身、今回の膝痛を通して改めて実感しました。
湿布や痛み止めだけで安心せず、日常の動き方や筋力を見直すことが何よりの治療です。
寒い季節こそ、温め・動かし・守る。
この3つを意識して、膝をいたわってあげてください。
👨⚕️ 町の保健室長よりひとこと
「膝の痛みは誰にでも起こりうるものです。
自分の体の変化に気づけることが、健康管理の第一歩。
早めの受診と、無理のないケアを心がけましょう。」
