2025-05-11 17:25:00

血管と脳の静かなリスクサイン——「ホモシステイン」をご存じですか?

 

血管と脳の静かなリスクサイン——「ホモシステイン」をご存じですか?

◆ 私とホモシステインの出会い

1983年、医師として臨床を始めて間もない頃、私は一冊の本に強い印象を受けました。
それが、エドワード・グルバーグ著『コレステロールはもう怖くない』です。

当時、動脈硬化の原因といえば「高コレステロール」が常識とされていましたが、その本では、あまり知られていなかった“ホモシステイン”というアミノ酸が、心疾患の独立したリスク因子として紹介されていたのです。

「病気はコレステロールだけで説明できない」というその視点は、まさに現在の“多因子疾患”という考え方の先取りでした。そして今、ホモシステインは心血管疾患、認知症、さらには骨や神経に関する疾患とも深く関わっていることがわかってきています。

◆ ホモシステインとは?

ホモシステインは、食事中のたんぱく質(メチオニン)の代謝過程で一時的に体内に生成されるアミノ酸です。通常は、葉酸・ビタミンB12・ビタミンB6の働きによって別の物質に変換され、速やかに代謝されます。

しかし、これらの栄養素が不足したり、加齢や体質によって代謝がうまくいかなくなると、血液中にホモシステインが蓄積しやすくなります。これが「高ホモシステイン血症」と呼ばれる状態です。

◆ なぜ問題なのか?——ホモシステインと疾患リスク

🫀 心血管疾患との関係

  • 血管内皮を傷つけ、動脈硬化や血栓形成を促進する

  • 心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まることが多数の研究で確認されています

🧠 認知症との関係

  • 高ホモシステインは脳の血流障害や神経細胞の損傷に関与

  • 高齢者では脳萎縮や白質病変と関連し、アルツハイマー病や血管性認知症のリスク上昇と関連

その他の関与が報告されている疾患

  • 骨粗鬆症(骨折リスク増加)

  • 抑うつ・情動障害

  • 妊娠合併症(妊娠高血圧症候群など)

  • 慢性腎疾患、糖尿病に伴う血管合併症

◆ 検査と予防

🔬 誰におすすめか?

  • 心血管疾患や認知症の家族歴がある方

  • 野菜や魚・肉の摂取が少ない方(赤身の肉や加工肉の過剰もリスク)

  • 高齢者、栄養吸収力が低下している方

  • 慢性疾患(高血圧、糖尿病、腎疾患など)をお持ちの方

🥗 日常の食事でできること

  • 葉酸:ほうれん草、ブロッコリー、枝豆、レバーなど

  • ビタミンB12:魚、卵、肉、乳製品

  • ビタミンB6:バナナ、さつまいも、豆類、鮭

🧪 医療機関での検査

ホモシステイン値は血液検査で簡単に測定可能です。症状や既往に応じて、保険診療で対応できる場合もありますので、医師にご相談ください。

◆ おわりに

ホモシステインは、まだ一般的にはあまり知られていない存在ですが、血管や脳の健康を語るうえで無視できない指標になりつつあります。

早い段階でその異常に気づき、適切な生活習慣を心がけることは、「未病」からの予防医療にもつながります。
みなさんの健康づくりに、この知識が少しでもお役に立てば幸いです。

 

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2025-05-09 19:01:00

🌞ビタミンD不足が関節リウマチを引き起こす?その理由と今すぐできる対策

 

🌞ビタミンD不足が関節リウマチを引き起こす?その理由と今すぐできる対策

こんにちは。今回は「ビタミンDと関節の健康」について、最近話題になっている関節リウマチ(RA)との関係を解説します。

💡そもそもビタミンDってなに?

ビタミンDは、太陽の光を浴びることで体内で作られる特別なビタミン
食事からも一部は摂取できますが、ほとんどは皮膚が紫外線を受けて合成します。

体の中では以下のような重要な働きをしています:

  • 骨を強くする

  • 免疫のバランスを整える

  • 炎症を抑えるホルモンのような働き

🔥関節リウマチってどんな病気?

関節リウマチは、自分の免疫が誤って関節を攻撃してしまう病気(自己免疫疾患)です。

主な症状は:

  • 朝の手のこわばり

  • 手足の関節の痛みや腫れ

  • 疲れやすさ

  • 発熱や貧血などの全身症状

放っておくと、関節が変形したり、日常生活が困難になったりすることもあります。

🧬ビタミンD不足と関節リウマチの「意外な関係」

最近の研究で、ビタミンDが不足すると関節リウマチのリスクが上がることが分かってきました。

その理由は主に4つあります:

1. 免疫の暴走を止められなくなる

ビタミンDは、免疫細胞の「ブレーキ役」もしています。
これが不足すると、自分の体を攻撃する免疫細胞が暴走しやすくなります。

2. 骨がもろくなりやすい

ビタミンDは、骨の代謝をコントロールしています。
不足すると骨が壊れやすくなり、関節の変形が進みやすくなります

3. 炎症が抑えられない

ビタミンDには炎症を和らげる作用があります。
これがないと、関節の腫れや痛みが悪化しやすくなります。

4. 腸内環境との関係も

最近では、腸の健康と免疫の関係にも注目が集まっています。
ビタミンDは腸内のバランスを整える働きもあり、腸と免疫の連携が崩れると炎症が起こりやすくなります

🧪あなたのビタミンD足りてる?

血液検査で「25(OH)D」という項目を調べると、体内のビタミンDの状態がわかります。

ビタミンD濃度(ng/mL) 判定
30以上 理想的 ✅
20〜30未満 不足気味 ⚠️
20未満 欠乏状態 ❗

🌤 ビタミンDを増やすには?

☀ 1. 太陽を味方につけよう

  • 毎日15〜30分、顔や腕を日光に当てる(※日焼け止めなしで)

🍳 2. 食事からも補給

  • サーモン、いわし、卵黄、きのこ(特に干ししいたけ)

💊 3. 必要ならサプリメントも

  • 特に冬や高齢者、屋内中心の生活の方にはおすすめ

  • サプリは医師や薬剤師に相談してから

🎯まとめ

  • ビタミンDは関節の健康にも欠かせない!

  • 不足すると免疫が暴走して関節リウマチのリスクが増えるかも?

  • 「日光・食事・サプリ」で今すぐ対策を!

✨健康は毎日の小さな積み重ねから

関節の痛みが気になる方、家族にリウマチの方がいる方、ぜひ一度ビタミンDのことを気にしてみてください。