「百日咳」は子どもの病気?実は中高生や大人にも増えています【ワクチンと検査の最新事情】
「百日咳」は子どもの病気?実は中高生や大人にも増えています【ワクチンと検査の最新事情】
こんにちは。
最近、中高生や成人の方で咳が長引くというご相談が増えています。
風邪だと思っていたら、実は「百日咳(ひゃくにちぜき)」だったという例も少なくありません。
今回は、百日咳の症状、検査、予防、そしてワクチンの最新事情について、医師の視点からわかりやすく解説します。
🤧 百日咳とは?── 長く続く咳には要注意
百日咳は、Bordetella pertussis(ボルデテラ・パートゥシス)という細菌によって起こる急性呼吸器感染症です。
主な症状:
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発作的な咳(特に夜間)
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咳の後、「ヒューッ」と息を吸い込む音(吸気性笛声)
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2週間以上続く咳(成人では特徴が不明瞭なことも)
特に乳児は無呼吸、低酸素発作、肺炎、けいれんを起こすことがあり、入院や集中治療の対象となることもあります。
👶 現在、乳児には「五種混合ワクチン」が使用されています
日本では、乳児に対しては定期接種として**五種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)**が広く使われています。
予防する感染症 | 内容 |
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ジフテリア(D) | 喉頭炎・神経麻痺など |
百日咳(P) | 長引く咳、乳児では重症化しやすい |
破傷風(T) | 土壌菌によるけいれん・呼吸障害 |
ポリオ(IPV) | 麻痺性疾患 |
Hib感染症(Hib) | 髄膜炎、敗血症など |
生後2か月から接種を開始し、4回のスケジュールで免疫をつけます。
🧑 成人・妊婦の百日咳ワクチンはどうなっているの?
✅ 海外の標準は「Tdap(成人用三種混合)」ワクチン
米国、英国、オーストラリアなどでは:
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妊婦に毎妊娠でTdap接種
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中高生(11〜12歳)にTdapブースター
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高齢者・家族も含めた囲い込み戦略(コクーニング)
⚠ 日本では成人用Tdapが未承認 → 小児用DPTで代用するケースあり
現在、日本では成人用の百日咳ワクチンは未承認です。
そのため、以下のような例外的対応が取られています:
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妊婦や乳児同居家族に対して、小児用のDPT(三種混合)を1回だけ任意接種
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これは「適応外使用」ですが、静岡Study(2020–2022)では、安全性に大きな問題は報告されていません
🧪 「リボテスト百日咳」で迅速診断が可能です
当院では、15分程度で結果が出る迅速抗原検査「リボテスト®百日咳」を導入しています。
特徴 | 内容 |
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検体 | 鼻咽頭ぬぐい液 |
検査法 | イムノクロマト法(簡易キット) |
感度・特異度 | 感度:約70%、特異度は高い(PCRよりやや劣る) |
推奨使用タイミング | 発症後3〜7日以内が最も検出率が高い |
咳が始まって間もない段階での診断に有用で、早期治療や感染拡大の防止に役立ちます。
💊 百日咳の治療と感染対策
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抗菌薬(マクロライド系)を早期に5日間投与
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学校保健安全法では、「適切な治療開始後5日間」出席停止
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乳児や妊婦への二次感染を防ぐため、家族内での注意喚起と接触制限も重要です
📝 まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
百日咳とは? | 長引く咳を引き起こす細菌感染症 |
乳児への予防 | 五種混合ワクチン(定期接種)で予防 |
成人・妊婦の対策 | 日本では小児用DPTを任意で代用する例あり |
診断法 | 抗原検査(リボテスト)やPCR、抗体検査 |
治療 | 抗菌薬+感染拡大防止の行動指導 |
📣 咳が続くときは早めの受診を!
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「咳が2週間以上続く」
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「家に赤ちゃんや妊婦がいる」
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「学校や職場で流行っている」
そんなときは、百日咳を疑い、医師の診察と検査を受けましょう。
当院では、検査・治療・ワクチン相談まで総合的に対応しています。
お気軽にご相談ください。