頭痛の原因は頭だけではない ― ホモシステイン高値が隠れていた片頭痛の一例
頭痛の原因は頭だけではない ― ホモシステイン高値が隠れていた片頭痛の一例
片頭痛の患者さんを診ていると、
「片頭痛は一つの病気ではない」
と感じることがあります。
最近、そんなことを改めて考えさせられた患者さんがいました。
レルパックスが手放せなかった
40歳前後の男性です。
以前から片頭痛があり、
予防薬としてミグシス(ロメリジン)を服用していました。
しかし十分な効果は得られず、
頭痛が起こるたびにレルパックス(エレトリプタン)を使っていました。
頭痛外来では珍しくない状態です。
予防薬を飲んでいても発作は起こる。
そのたびに急性期治療薬を使う。
そんな生活が続いていました。
少し気になったこと
診察を続ける中で、
体格はやや肥満傾向。
食事量も少なくありませんでした。
そこで一般的な血液検査に加え、
栄養状態も確認してみることにしました。
すると、
-
葉酸低値
-
ビタミンB12低値
-
ホモシステイン高値
が見つかりました。
ホモシステインとは
ホモシステインはアミノ酸代謝の途中で作られる物質です。
通常は葉酸やビタミンB12、ビタミンB6の働きによって代謝されます。
しかし、
これらの栄養素が不足すると血液中で増加します。
近年では、
高ホモシステイン血症が血管や神経の働きに影響し、
一部の片頭痛患者で関与している可能性が報告されています。
ビタミン補充後の変化
そこで葉酸とビタミンB群を補う治療を行いました。
すると、
最も印象的だった変化は、
レルパックスをほとんど使わなくなったこと
でした。
もちろん、
これだけで片頭痛が完全に治ったわけではありません。
しかし、
発作の頻度と強さは明らかに減りました。
患者さん自身も
「以前よりずっと楽になった」
と話していました。
肥満と栄養不足は両立する
ここで誤解してほしくないことがあります。
体格が大きいからといって、
栄養状態が十分とは限りません。
現代では、
カロリーは過剰でも、
葉酸やビタミンB群などの微量栄養素が不足していることがあります。
いわゆる
「栄養過多と栄養不足の同居」
です。
片頭痛は一つではない
もちろん、
すべての片頭痛がホモシステインで説明できるわけではありません。
睡眠不足が原因の人もいます。
ストレスが大きく関与する人もいます。
最近ではCGRP関連薬が劇的に効く患者さんもいます。
一方で、
今回のように栄養代謝が関与しているケースもあります。
同じ片頭痛という診断名でも、
背景は人それぞれなのです。
おわりに
片頭痛を診るとき、
私は頭だけを見るのではなく、
その人全体を見るように心がけています。
睡眠、運動、ストレス、血糖、栄養状態。
そうした背景を整えることで、
思わぬ改善につながることがあります。
今回の患者さんは、
そのことを改めて教えてくれた症例でした。
※本記事は実際の診療経験をもとに、個人が特定されないよう配慮して再構成したものです。
※ホモシステイン高値やビタミン補充がすべての片頭痛患者さんに当てはまるわけではありません。治療については主治医とご相談ください。
