2025-02-11 18:15:00

「虎の威を借る者たち――カメラは嘘をつかない」

「虎の威を借る者たち――カメラは嘘をつかない」

イシバシ氏は褒められる。
だが、カメラは嘘をつかない。

日米首脳会談が「大成功」だったと、旧メディアは一斉に囃した。
握手の瞬間を切り取り、笑顔を並べ、親密な関係を演出する。
だが、少し目を凝らせば、そこに映るのはぎこちない距離感と、演出された親善の舞台裏だ。

映像に映っていたのは、トランプ大統領が明らかに忍耐している姿だった。
横柄で礼儀知らずなイシバシ氏を前に、フレンドリーな笑顔を絶やさず、ぐっと堪えているのが見て取れた。
なぜか?

米中超限戦の時代、日本にはまだ利用価値がある。
経済的にも、軍事的にも、地政学的にも、アメリカにとって手放せないカードの一枚なのだ。
だからこそ、トランプ氏は表面的には笑顔を保ちつつ、しかし確かに「シンゾーの路線を崩すなよ」と釘を刺した。
彼にとって、日本のリーダーが誰であろうと関係ない。
重要なのは、日本がアメリカの利益に貢献するかどうか、それだけだ。

「虎の尾を踏まなければ成功」という錯覚

イシバシ氏は、それを理解しているのか。
いや、彼は今、自分が「大成功」したと信じているのだろう。
メディアもまた、それを囃し立てる。
日米首脳会談は順調だった、親密な関係を築いたと。

だが、カメラは嘘をつかない。
映っていたのは、トランプ氏が見せる「外交的忍耐」だった。
今のところは、足を引っ張らなければ許してやる。
日本が路線を逸れず、余計なことをしなければ、
今の無礼も大目に見よう。

つまり、猶予期間が与えられただけなのだ。
何か勘違いしているのは、むしろイシバシ氏のほうではないか。

かつて、安倍晋三という男は、虎の尾を踏みながらも堂々としていた。
踏むべきところは踏み、譲るべきところは譲る。
それが交渉だった。

だが、今の日本のリーダーたちは違う。
虎の尾を踏まぬように気を使いながら、
虎の威を借りて、自分が何かを成し遂げた気になっている。

メディアはそれを「成功」と報じる。
日本のリーダーが「礼儀知らずでも許された」のは、
彼の手腕の証拠だと持ち上げる。

いや、違う。
それは、日本が「まだ使える駒」だからだ。
外交的に、戦略的に、利用価値があるからだ。

「成功」ではなく「猶予」。
それを理解しないまま、メディアは祭りを続ける。

昔のご隠居なら、こう嗤っただろう。

「日本は虎の尾を踏まずに、虎の威を借りて生きている。だが、虎は威を貸した覚えはないぞ」