コロナ後の精神症状とは?いま私たちが知っておくべきこと
コロナ後の精神症状とは?いま私たちが知っておくべきこと
はじめに
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が落ち着きを見せるなかでも、「コロナ後遺症(long COVID)」による不調に悩む方が後を絶ちません。特に注目されているのが、感染から回復後に現れる精神神経症状です。
この記事では、2025年に発表された最新の専門論文(精神神経学雑誌)をもとに、コロナ後の精神症状について一般の方にもわかりやすく解説します。
コロナ後の精神症状とは?
COVID-19の感染後、数週間から数ヶ月以上にわたって心や体の不調が続くことがあり、これを「罹患後症状」あるいは「ロングコロナ」と呼びます。なかでも精神的・神経的な症状は以下のようなものが報告されています。
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慢性的な疲労感
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不眠や睡眠の質の低下
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「ブレインフォグ」(思考がぼんやりする、集中できない)
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不安、気分の落ち込み(うつ)
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頭痛、めまい
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感情の起伏の激しさ
これらは単なる気分の問題ではなく、脳や神経に関わる実際の障害として医学的にも注目されています。
なぜ精神症状が起きるの?
研究によると、以下のような仕組みが関係している可能性があります。
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ウイルス感染による炎症:体内の炎症反応が脳に影響し、気分や思考に不調をもたらす。
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免疫の異常:自己免疫反応が続き、脳機能に影響する。
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血液脳関門の破壊:ウイルスの影響で脳を守るバリアが壊れることで、神経障害が起きやすくなる。
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慢性ストレス・社会的孤立:パンデミック下の生活環境もメンタルに大きな影響を与えた。
誰がなりやすい?
疫学研究から、以下の人々に精神症状が出やすいことが分かっています。
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女性
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40代以上
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肥満や基礎疾患がある人(糖尿病、喘息など)
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コロナ感染時に入院や集中治療を受けた人
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ワクチン接種歴が少ない人
どうやって対処すればいい?
現在、コロナ後遺症に対する標準的な治療法は確立されていませんが、以下の方法が効果的とされています。
● 医療機関への相談
「気のせい」で済ませず、精神科・心療内科への相談を検討しましょう。
● 心理療法(認知行動療法など)
不安や抑うつ、疲労に対しては、心理的アプローチが有効です。
● 睡眠・生活習慣の改善
規則正しい生活、軽い運動、良質な睡眠が心身の回復を助けます。
● 周囲の理解と支援
家族や職場の理解も重要です。症状を正しく知り、無理をせず休むことが回復への近道です。
まとめ
コロナ後の精神症状は、決して珍しいことではなく、多くの人が悩んでいる「見えにくい後遺症」です。正しく知り、適切に向き合うことで、症状は改善する可能性があります。
「なんとなく不調が続く」「自分だけかもしれない」と悩む前に、まずは一歩踏み出して相談してみましょう。
出典
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精神神経学雑誌 第127巻 第2号(2025)「COVID-19罹患後の精神神経症状」
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厚生労働省「COVID-19後遺症の診療の手引き」
