2024-07-12 00:53:00

コロナ禍の試練: 医療機関の日常とその挑戦

コロナ禍の試練: 医療機関の日常とその挑戦

 

新型コロナウイルスの感染が広がる中、私たちのクリニックも例外ではなく、多くの困難に直面しました。感染防御、患者さんへの啓蒙、ワクチン接種の実施、そして日常診療の継続と、私たちの日々はハードなものでした。

 

特に印象深いのは、マスクが不足していた時期と、ワクチンがまだ供給されていない時期の不安です。これらの基本的な防護手段が手に入らない中で、私たちはどのように自分たちと患者さんを守るべきか、日々模索していました。

 

ワクチン接種が始まると、新たな課題が待ち受けていました。接種を希望する患者さんからの連絡が絶えず、電話は鳴り止まない状態が続きました。予約開始日には、クリニック前に長蛇の列ができ、これには受付事務スタッフだけでなく、私自身も圧倒される思いでした。その時、家に帰りたいと強く感じたことを覚えています。

 

スタッフ全員が精神的にも肉体的にも限界に近づき、クリニック全体がピリピリとした緊張感に包まれていました。それでも、看護師や受付事務スタッフは、その困難な状況を一丸となって乗り越えてくれました。

 

近隣の医療機関では、他県から来院した新患がコロナ感染を隠していたために、院長が濃厚接触者となり、何日もの休診を余儀なくされる事態も発生しました。また、ある透析機関では、数名のコロナ患者が発生したことで、保健所の指示に従い、院内全体をクレゾール液で消毒するという極端な対応を取らざるを得ない状況になりました。

 

当クリニックは、受付事務スタッフと看護師の協力により、院内感染を未然に防ぐことができました。現在では、「濃厚接触」という概念もなくなり、接触感染のリスクがほとんどないことが明らかになっています。今となっては苦労話が笑い話に変わることもありますが、当時は未知のウイルスに対する不安と戦っていました。

 

私たちは、多くのクレームを受け、時には非難の的となりましたが、それでも患者さん一人ひとりに最善のケアを提供しようと努力し続けました。この経験は、私たち医療従事者にとっても、計り知れない学びと成長の機会となりました。コロナ禍を通じて、私たちはより強く、より臨機応変に、そして何よりも患者さんとの絆を深めることができたのです。