2025-06-11 08:50:00

【男性更年期(LOH症候群)とは?】〜日本漢方と最新医療からのアプローチ〜

【男性更年期(LOH症候群)とは?】〜日本漢方と最新医療からのアプローチ〜

🔹 中高年男性に増えている「心と体の不調」の正体

40代後半〜60代にかけて、「やる気が出ない」「朝の勃起がなくなった」「疲れが抜けない」と感じている方はいませんか?
それは、もしかすると男性更年期障害(LOH症候群)かもしれません。

LOH(Late-Onset Hypogonadism)とは、加齢による男性ホルモン(テストステロン)の分泌低下によって起こる、心身の不調の総称です。

🔹 主な症状(Aging Male Symptomsスコアより)

  • 抑うつ、意欲低下

  • 集中力の低下、記憶力の衰え

  • 性欲減退、勃起力の低下

  • 筋力低下、疲労感

  • 睡眠障害、イライラ感

🔹 現代医学による診断と治療

🧪 診断の基本

  • 血中総テストステロン(TT)、血中遊離テストステロン(Free T)の測定(午前中の採血)

  • AMSスコア(自己評価質問票)による症状評価

💉 治療の選択肢

  • テストステロン補充療法(TRT)

  • 栄養・生活習慣改善(ビタミンD、運動、睡眠)

  • 心理的支援(カウンセリング含む)

🔹 日本漢方からのアプローチ

日本の伝統的な漢方医学では、LOHの症状は「腎虚(じんきょ)」や「気虚」「肝うつ」などの状態に対応します。

🌿 よく使われる処方(体質・症状により医師の判断が必要)

漢方名 主な作用 対応する症状例
八味地黄丸(はちみじおうがん) 補腎・補陽・利尿 筋力低下、頻尿、性機能低下、下肢冷え
補中益気湯(ほちゅうえっきとう) 補気・抗疲労 倦怠感、やる気が出ない、集中力低下
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう) 精神安定・抗ストレス イライラ、不安、不眠
桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう) 不安・神経過敏 夜間覚醒、のぼせ、焦燥感

☝ 漢方は対症療法ではなく体質改善を目的とするため、診察のうえで処方が決まります。

🔹 TRTだけに頼らない「統合アプローチ」が重要

最近の研究(2025年・日本泌尿器科学会)では、テストステロン補充療法(TRT)は、正常ホルモン値でもLOH症状がある男性に有効な可能性があることが示されました【PMID: 40459098】。

しかし、ホルモン補充に頼るだけではなく、以下を組み合わせた治療が理想です。

  • 睡眠と運動の最適化

  • 食事改善(亜鉛・ビタミンD・DHEAなどの栄養補助)

  • ストレスケア(心理療法・マインドフルネスなど)

  • 漢方による体質改善

🔹 まとめ:男の不調を“年齢のせい”にしない

男性更年期は、「年だから仕方ない」と我慢するのではなく、医療と漢方の両面からアプローチ可能な“治療できる状態”です。

「ちょっとおかしいな」と感じたら、早めの検査と相談をおすすめします。
菊池クリニックでは、血液検査+漢方診療+栄養指導を組み合わせた統合的アプローチを提供しています。

🔸免責事項

本記事は、一般的な医学情報および最新の研究知見に基づいて作成されたものであり、特定の疾患や症状に対する診断・治療を目的としたものではありません。
ご紹介した治療法(例:テストステロン補充療法、漢方処方など)は、医師の診察・検査に基づいて適応を判断する必要があります

 

ご自身の健康状態に不安がある方は、必ず医師や専門医療機関にご相談ください。