2025-03-10 14:14:00

高尿酸血症とその予防

高尿酸血症とその予防

1. 高尿酸血症とは?

高尿酸血症とは、血液中の尿酸値が異常に高くなる状態を指します。尿酸はプリン体の代謝産物であり、通常は腎臓を通じて尿中に排泄されます。しかし、尿酸の産生過剰または排泄低下が起こると、血中に尿酸が蓄積し、高尿酸血症となります。

尿酸値の基準として、血清尿酸値が7.0 mg/dLを超えると高尿酸血症と診断されます。長期間にわたる高尿酸血症は、痛風や腎障害、心血管疾患のリスクを高めるため、適切な管理が重要です。

2. 高尿酸血症の原因

高尿酸血症の原因は大きく3つに分類されます。

  1. 尿酸の過剰産生型

    • 過剰なプリン体の摂取(肉類、内臓、魚卵、アルコールなど)
    • 遺伝的要因
    • 造血器疾患(白血病、多血症など)
    • 細胞崩壊を伴う病態(がん治療後、溶血性貧血など)
  2. 尿酸の排泄低下型(最も多い原因)

    • 腎機能低下(慢性腎臓病など)
    • メタボリックシンドローム(インスリン抵抗性の影響)
    • 脱水(尿量が減少し、尿酸排泄が低下)
    • 一部の薬剤(利尿薬、アスピリン、シクロスポリンなど)
  3. 混合型(産生過剰+排泄低下)

    • アルコールの多飲
    • 肥満
    • 高果糖食(特に清涼飲料水や加工食品に多い)

3. 高尿酸血症による健康リスク

高尿酸血症は単に痛風のリスクを高めるだけでなく、以下の疾患にも関与しています。

  • 痛風発作(関節に尿酸結晶が沈着し、激しい痛みを引き起こす)
  • 尿路結石(尿酸が腎臓や尿管に沈着し、結石を形成)
  • 慢性腎臓病(CKD)(尿酸の蓄積が腎機能を悪化させる)
  • 高血圧・動脈硬化(尿酸が血管機能を低下させ、血圧上昇を促す)
  • メタボリックシンドローム・糖尿病(高尿酸値はインスリン抵抗性を悪化させる)

4. 高尿酸血症の予防方法

高尿酸血症の予防には、生活習慣の改善が重要です。以下のポイントに注意しましょう。

① 食事の見直し
  • プリン体の多い食品を控える

    • 避けるべき食品:レバー、魚卵、エビ、カツオ、マグロ、ビール
    • 適度に摂取する:肉類(赤身)、魚介類(イワシ、サバなど)
    • 推奨食品:野菜、大豆製品、乳製品、卵
  • 果糖の過剰摂取を避ける

    • 清涼飲料水、果糖ブドウ糖液糖(HFCS)を多く含む加工食品を控える
    • 果物も過剰摂取に注意(特にジュース化したもの)
  • アルコールを減らす

    • ビール、日本酒はプリン体が多く、尿酸値を上げる
    • 蒸留酒(焼酎、ウイスキー)は比較的影響が少ないが、量に注意
    • アルコールは尿酸の排泄を妨げるため、全体的に控えめにする
② 水分摂取の強化
  • 1日2リットル以上の水を飲む(尿酸排泄を促進)
  • アルカリ性飲料(ミネラルウォーター、炭酸水)を選ぶと尿酸の排泄を助ける
  • カフェインは利尿作用があるが、適量なら尿酸排泄を促す可能性がある
③ 適度な運動
  • 過度な運動(無酸素運動)は尿酸を増やすため注意
  • 有酸素運動(ウォーキング、サイクリング、水泳など)を習慣化する
  • 体重管理が重要(BMI 25以下を目指す)
④ ストレス管理
  • ストレスは交感神経を活性化し、尿酸値を上げる
  • ヨガ、瞑想、深呼吸、趣味の時間を確保する
⑤ 薬物療法(必要な場合)
  • 尿酸生成抑制薬(アロプリノール、フェブキソスタット)
    • 尿酸の合成を抑える
  • 尿酸排泄促進薬(ベンズブロマロン、プロベネシド)
    • 腎臓からの尿酸排泄を促進
  • 急性痛風発作時の治療(コルヒチン、NSAIDs、ステロイド)

5. まとめ

 

高尿酸血症は単なる「尿酸値の上昇」ではなく、痛風や腎障害、心血管疾患などのリスクを高める重要な病態です。予防には、食事の改善、適度な運動、水分摂取の強化、ストレス管理が不可欠です。特に、プリン体の摂取制限、果糖の管理、アルコール制限を意識することが、尿酸値のコントロールに役立ちます。
また、尿酸値が持続的に高い場合や痛風発作を繰り返す場合は、医師と相談し、薬物療法を含めた適切な治療を受けることが推奨されます。