2024-12-27 16:06:00

感染症の急増とクリニックの現場

感染症の急増とクリニックの現場

 

今週に入り、インフルエンザが急増しています。それに追い討ちをかけるように、新型コロナウイルスの感染者数もじわじわと増えてきています。先日、栃木県で開業している自治医科大学の先輩夫婦と食事をした際、彼らのクリニックでは1日に70人もの患者を診て、そのうち20人がインフルエンザ、4人がコロナだったと話していました。さらに、埼玉県で呼吸器内科を中心に開業している別の先輩も、開業以来の忙しさで毎日残業続きだと言っていました。

 

一方、私のクリニックは規模も小さく、高血圧症や糖尿病などの内科系の疾患のみならず、しばしば男性更年期や心療内科の患者さんの予約が入っているため、これほど多くの感染症患者に対応することは難しい状況です。それでも、1日20人近くの発熱外来の患者さんが訪れています。

 

幸いにも、現在の師長さんや看護師さんたちは非常に効率的に問診や検査を行ってくれますし、受付スタッフもてきぱきと対応してくれるので、なんとか現状に対応できています。そのおかげで、忙しい中でも患者さんに丁寧な診療を提供できていることに感謝しています。

 

コロナ禍を通じて学んだこと

 

思い返せば、コロナ禍が始まり、ワクチン接種がスタートした頃は、私たち医療現場にとって未知の試練の連続でした。当時は皆、感染リスクへの不安や、我れ先にとワクチン接種を希望する患者さんからのプレッシャーで、少々殺気立っていたように思います。ワクチン接種を効率よく、かつ安全に行うために何度も議論を重ね、試行錯誤を繰り返しました。

 

しかし、あの時の経験が私たちをひとつのチームとして強化してくれたことも確かです。当初は手探りだった対応も、スタッフ一人ひとりが自分の役割を理解し、自律的に行動するようになりました。その結果、感染症対策だけでなく、クリニック全体の運営が以前よりスムーズになりました。

 

患者さんの言葉に励まされる日々

 

忙しい日々の中で、ある高齢の患者さんがこんなことを話してくれました。「先生、ここに来るとなんだかホッとするんだよ。」その言葉は、私にというよりも、スタッフ全員に向けられたものだと感じました。受付スタッフの温かな笑顔や看護師たちの丁寧な対応が、患者さんに安心感を与えているのだと思います。

 

インフルエンザやコロナの流行が続く中、私たちは今できる最善を尽くし、患者さんに寄り添い続けることが大切です。時に押し寄せる大きな波に立ち向かいながら、クリニックという小さな船をスタッフ全員で力を合わせて進めていく。そんな日々の積み重ねが、未来の地域医療を支える礎となることを信じています。