低テストステロン血症患者におけるクロミッド治療の症例
低テストステロン血症患者におけるクロミッド治療の症例
背景:
低テストステロン血症は男性更年期障害の一因となり、抑うつ気分や不安感、疲労感、筋力低下などの精神的および身体的症状を伴うことがあります。妊孕性を維持したい場合、テストステロン補充療法は選択が難しいため、クロミッド(クエン酸クロミフェン)を用いた治療が選択肢となることがあります。
症例:
• 患者: 50代男性
• 主訴: 抑うつ気分、疲労感、筋肉痛
• 初診時ホルモン値:
• 遊離テストステロン (FT): 3.4 pg/mL
• FSH: 7.5 mIU/mL
• LH: 4.5 mIU/mL
治療経過:
クロミッドを10日間服用(用量は1回25mg)後、以下の変化が見られました。
• 治療後ホルモン値:
• 遊離テストステロン (FT): 5.1 pg/mL
• FSH: 13.9 mIU/mL
• LH: 13.9 mIU/mL
患者はホルモン値の改善とともに疲労感が軽減しましたが、視覚障害(霞目)が出現したため、治療を中止しました。
考察:
クロミッドは視床下部-下垂体-精巣軸を刺激することで内因性テストステロン産生を促進し、妊孕性を維持しながら低テストステロンを改善する治療法です。本症例では短期間でホルモン値の改善と症状の軽減が認められましたが、副作用の出現により治療継続が困難となりました。
費用について:
クロミッドを用いた男性更年期治療は健康保険の適用外であり、自費診療となります。そのため、治療にかかる費用については事前に十分な説明が必要です。
結論:
クロミッドは妊孕性を維持したい低テストステロン血症患者への治療選択肢として有用ですが、副作用リスクと費用負担を考慮しつつ、患者に応じた慎重な治療が求められます。