2024-07-09 21:05:00

パニック症について:第3回目

 パニック症について:第3回目

 

パニック症の症状とその対策

 

パニック症は、突発的な強い不安感や恐怖感を伴うパニック発作が繰り返し発生する精神疾患です。以下に、主要な症状とその対策について詳述します。

 

主な症状

 

1. 突然の強い不安

   ・突然、何の前触れもなく非常に強い不安(死ぬような、発狂しそうな感覚)が襲います。

   ・これに伴い、心拍数の急上昇(バクバクする)や発汗が見られます。

 

2. 身体的な症状

   ・動悸、息苦しさ、過呼吸、胸痛、めまい、吐き気などが一般的です。

   ・一部の人は、発作中に死の恐怖や現実感喪失を感じることもあります。

   ・便意を感じることもあります。

 

3. 予期不安

   ・次の発作がいつ起きるかわからないという恐怖感により、生活の質が大幅に低下することがあります。

 

対策

 

1. 認知行動療法(CBT)

   ・概念: 認知行動療法は、否定的な思考パターンを認識し、それを現実的で建設的な考え方に置き換えることを目指します。

   ・技法:書き出し、再評価、リラクゼーション技法などを用います。

   ・効果:パニック発作の頻度と強度を減少させる効果が証明されています。

 

2. 薬物療法

   ・抗不安薬:ベンゾジアゼピン系薬物が迅速な効果を示しますが、長期使用には注意が必要です。

   ・抗うつ薬: SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は長期的な不安管理に有効です。

   ・β遮断薬: 身体的な症状を軽減するために使用されることがあります。

   ・漢方薬: 漢方薬も補助的に使用されることがあります。柴胡加竜骨牡蛎湯や半夏厚朴湯、笭桂朮甘湯などが、不安感や緊張感を和らげるために使用されます。

 

3. 呼吸法とリラクゼーション

   ・意識的呼吸法: 意識的に呼吸を行うことで、副交感神経を賦活させます。特に、吐く息をゆっくりとすることが重要です。

    ・ ゆっくりと鼻から息を吸い、腹部が膨らむのを感じます。

     ・口からゆっくりと息を吐き出し、吐く時間を長く取ります。これにより、副交感神経が活性化され、リラックス効果が高まります。

   ・ジェイコブソンの漸進的筋弛緩法: 各筋肉群を順番に緊張させ、次に緩めることでリラクゼーションを促進します。

   ・自己催眠: 自己催眠を用いることで、深いリラクゼーション状態を誘導し、不安感を軽減します。自己催眠は、繰り返しの暗示やイメージング技法を使い、心身のリラックスを図ります。

 

 4. ライフスタイルの改善

   ・規則正しい生活: 睡眠と食事のバランスを保つことが重要です。

   ・運動:定期的な運動はストレスを軽減し、全体的な精神的健康を向上させます。

 

5. 家族や友人のサポート

   ・サポートネットワーク: 家族や友人に自分の状態を理解してもらい、サポートを受けることが重要です。

   ・サポートグループ: 同じ経験を持つ人々との交流も心の支えになります。

   ・不安でもやるべきことややりたいことを意識する: サポートが目的化しないよう、不安を感じてもやるべきことややりたいことを意識して実行することが必要です。これにより、自分の人生を主体的に管理する力が養われます。

 

まとめ

 

パニック症は、適切な治療と対策を講じることで、その影響を最小限に抑えることが可能です。認知行動療法や薬物療法、意識的呼吸法、ジェイコブソンの漸進的筋弛緩法、自己催眠、ライフスタイルの改善、そして家族や友人のサポートを組み合わせることで、発作の頻度と強度を減少させ、生活の質を向上させることができます。次回は、パニック症の予防と長期的な管理について詳しく解説します。

 

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