菊池クリニック|内科・生活習慣病

脂肪肝・代謝性肝疾患
(MASLD・MASH)の診療

肝機能の数値だけでなく、肝線維化と全身の代謝リスクを診る。
古河赤十字病院と連携し、長期的な健康管理を目指します。

脂肪肝は、肝臓だけの問題ではありません

脂肪肝は自覚症状がないことも多く、健康診断で初めて指摘される場合があります。しかし一部では肝臓に炎症や線維化が進み、肝硬変や肝がんにつながることがあります。

MASLD(マッスルディー)

肝臓への脂肪蓄積に、糖尿病、肥満、高血圧、脂質異常などの心代謝リスク因子が関連する脂肪性肝疾患です。診断では飲酒量や、他の肝疾患の可能性も確認します。

MASH(マッシュ)

脂肪肝に加え、肝細胞の傷害や炎症を伴う病態です。進行すると肝線維化を生じることがあります。血液検査だけで確定できるものではありません。

※脂肪肝=すべてMASLDではありません。飲酒、B型・C型肝炎、薬剤など、別の原因も必要に応じて調べます。

当院の診療の7つの特徴

① 健診異常をきっかけに早期発見

AST・ALT・γ-GTPなどに加え、糖尿病・肥満・脂質異常症なども確認します。肝酵素が正常でも線維化が進んでいる場合があります。

② FIB-4で線維化リスクを評価

年齢、AST、ALT、血小板数から計算する指標を参考に、専門的な肝硬度評価が必要か検討します。

③ 糖尿病とインスリン抵抗性も管理

HbA1cや血糖、体重、腹囲、脂質などを総合的に確認し、代謝異常の改善を目指します。

④ 内臓脂肪と筋肉量にも配慮

肥満が目立たない方にも脂肪肝は生じます。減量だけに偏らず、筋肉量を保つ生活改善を重視します。

⑤ 心臓・血管・腎臓も一緒に診る

血圧、LDLコレステロール、糖代謝、腎機能など、全身の心血管リスクを管理します。

⑥ 過去の数値の推移を確認

医療データファイリングシステム(RS-Base)などの記録を参考に、肝酵素、血小板、血糖、脂質などの長期的な変化を把握します。

⑦ 肝臓専門医と連携

線維化の進行が疑われる場合や、原因がはっきりしない場合は、主に古河赤十字病院 消化器・肝臓内科へ紹介します。

肝線維化の手がかり「FIB-4 index」

重要なのは、脂肪がどれだけ多いかだけでなく、肝臓の線維化が進んでいないかということです。FIB-4は通常の血液検査から線維化リスクを推定する目安です。

FIB-4 = 年齢 × AST ÷[血小板数(10⁹/L)× √ALT]
FIB-4の目安考え方当院の対応
1.3未満進行線維化の可能性が比較的低い代謝異常を管理し、定期的に再評価
1.3~2.67追加評価を検討肝硬度検査や専門医への紹介を検討
2.67超進行線維化の可能性が高い専門医紹介を積極的に検討
年齢による注意:65歳を超える方ではFIB-4が高く出やすいため、一次評価の基準として2.0を用いる場合があります。35歳未満や急性疾患中も解釈に注意が必要です。糖尿病のある方ではFIB-4が低くても線維化を否定できません。数値だけで診断を確定しません。

※上表は主として35~64歳の一般的な評価目安です。ほかの肝疾患、血小板減少の原因、臨床所見などにより判断は異なります。

生活習慣と代謝異常を総合的に管理します

食事

過剰なエネルギー摂取、糖分を多く含む飲料、偏った食事を見直し、長く続けられる方法を考えます。

運動・筋肉量

体力や合併症に合わせて身体活動を増やし、必要に応じて筋力を保つ運動を取り入れます。

糖尿病・血圧・脂質

肝臓だけでなく、心筋梗塞や脳卒中、腎臓病のリスクも視野に治療します。

飲酒・睡眠

飲酒量を確認し、睡眠や生活リズムも含めて無理のない改善を検討します。

※薬物療法は糖尿病や肥満などの適応疾患、肝臓の状態、国内の承認内容などを踏まえて個別に検討します。

よくある質問

Q.ALTが正常なら安心ですか?

A.必ずしもそうとは限りません。ALTが高くなくても線維化が進んでいる場合があります。糖尿病などがある方ではリスク評価が大切です。

Q.太っていなくても脂肪肝になりますか?

A.はい。体重が標準的でも、内臓脂肪や代謝異常に関連して脂肪肝になることがあります。

Q.肝臓の薬を飲めば治りますか?

A.治療は線維化の程度や合併症によって異なります。生活改善、糖尿病や肥満などの適切な治療、必要に応じた専門医の評価を組み合わせます。

肝機能の数値だけでなく、肝線維化を診る。肝臓だけでなく、全身の代謝異常を診る。そして、専門病院と連携して長期的な健康管理を目指す。

参考:日本肝臓学会「MASLD診療ガイドライン2026(改訂第3版)」案内、日本肝臓病患者団体協議会「肝臓病ポケットマニュアル2025」、古河赤十字病院公式サイト。本文は患者さん向け一般説明であり、個々の診断・治療を代替するものではありません。