当院の高血圧治療の特徴|菊池クリニック
菊池クリニック|高血圧診療

当院の高血圧治療の特徴

血圧だけを診るのではなく、血管を診る。生活を診る。そして、将来の健康を守る。

高血圧は自覚症状が少なくても、長い年月をかけて脳・心臓・腎臓・血管に負担をかけます。当院では、日本高血圧学会の「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)」を基本とし、患者さんの生活背景や合併症も考えながら、一人ひとりに合った管理を目指します。

高血圧治療の目標

診察室血圧130/80mmHg 未満
家庭血圧125/75mmHg 未満

JSH2025の原則的な降圧目標です。高齢者でフレイルがある場合、立ちくらみや副作用が生じる場合などは、安全性や生活機能を考慮して個別に調整します。ご自身の判断で薬を変更・中止しないでください。

当院が大切にしている7つのこと

01

家庭血圧を重視

朝・晩の家庭血圧を参考に、診察室ではわからない早朝高血圧、白衣高血圧、仮面高血圧などにも注意します。

02

血管・臓器の状態を評価

血圧脈波検査(CAVI・ABI)、心電図、血液・尿検査などを活用し、動脈硬化の指標や心臓・腎臓への影響を調べます。

03

減塩と生活習慣の改善

食塩摂取量は原則1日6g未満を目標に、食事、運動、体重、飲酒などを見直します。無理なく続けられる方法を考えます。

04

睡眠・ストレスにも配慮

睡眠不足やストレス、緊張などによる血圧変動にも注目。必要に応じて呼吸法やリラクゼーションを生活改善の補助として提案します。

05

薬の作用を考えた個別化治療

ARB、Ca拮抗薬などの標準的な降圧薬を中心に、必要な場合にはARNIなども検討し、合併症と安全性を踏まえて選択します。

06

脳・心臓・腎臓を長く守る

脳卒中、心筋梗塞、心不全、慢性腎臓病などのリスクを減らし、認知機能を含む長期的な健康にも目を向けます。

07

患者さんと一緒に進める

家庭血圧の測定方法、薬の必要性、副作用、生活習慣について説明し、納得して続けられる治療を大切にします。

主な降圧薬の特徴と使い分け

降圧薬は、どれも同じ仕組みで血圧を下げるわけではありません。血圧の高さだけでなく、腎機能、尿蛋白、心不全の有無、年齢、副作用などを考慮して選択します。

ARB|血管を収縮させる働きを抑える

アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬

例:テルミサルタン、オルメサルタン、アジルサルタン

血管を収縮させるホルモン「アンジオテンシンⅡ」の作用を抑えて血圧を下げます。特にアルブミン尿・蛋白尿を伴う慢性腎臓病や、一部の心不全などで重要な選択肢です。

注意点:血液中のカリウム上昇、腎機能の変化、血圧低下など。妊娠中は使用できません。

ARNI|2つの仕組みで血圧を下げる

アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬

例:サクビトリルバルサルタン(エンレスト®)

ARBの作用に加え、血管を広げたり、ナトリウム排泄を促したりする「ナトリウム利尿ペプチド」の働きを高めます。従来の治療で降圧が不十分な高血圧などで検討する薬です。心不全の治療にも用いられますが、適応や使い方は病態で異なります。

注意点:過度の血圧低下、腎機能変化、高カリウム血症、血管性浮腫など。高血圧では原則として最初の1剤には用いません。ACE阻害薬との併用はできず、切替時には36時間以上の間隔が必要です。ARBとの重複投与も避けます。

Ca拮抗薬|動脈を広げる

カルシウム拮抗薬

例:アムロジピン、ニフェジピンCR、シルニジピン

主に血管の筋肉にカルシウムが入るのを抑え、動脈を広げることで血圧を下げます。長時間作用型の薬は安定した降圧が期待でき、高齢者や収縮期血圧が高い方にも広く用いられます。

注意点:足のむくみ、顔のほてり、頭痛、歯肉肥厚など。種類によって心拍数や心臓への作用も異なります。

3種類の比較

薬の種類主な作用選択時に重視すること主な注意点
ARBアンジオテンシンⅡの働きを抑える尿蛋白・アルブミン尿、腎疾患、心不全の病態など高K血症、腎機能変化、妊娠中禁忌
ARNIARB作用+ナトリウム利尿ペプチド作用の増強通常の治療で降圧不十分な場合、心不全の適応など低血圧、高K血症、腎機能変化、血管性浮腫、併用制限
Ca拮抗薬血管平滑筋を緩めて動脈を拡張安定した降圧、収縮期高血圧など浮腫、ほてり、頭痛など

薬の優劣は一律には決まりません。ARBとARNIを単純に「新しい方が優れている」と比較することはできません。また、漢方や呼吸法は標準的な降圧治療に代わるものではなく、必要に応じた補助的な対応です。

治療は検査と対話を重ねながら

  • 家庭血圧の記録を確認し、薬が十分に効いているかを評価します。
  • 腎機能・電解質などを必要に応じて検査し、副作用を確認します。
  • 糖尿病、脂質異常症、慢性腎臓病なども含めて全身のリスクを管理します。
  • 血圧がなかなか下がらない場合には、測定方法、服薬状況、睡眠時無呼吸症候群や二次性高血圧なども検討します。