慢性腎臓病(CKD)の治療と管理|菊池クリニック
菊池クリニック|内科・予防医療

慢性腎臓病(CKD)の治療と管理

腎機能の「いま」と「これまでの変化」を診て、腎臓と心臓の未来を守る。

慢性腎臓病は、自覚症状が少ないまま進行することがあります。当院では過去の検査結果を活用し、腎機能の変化、尿蛋白、血圧、糖尿病などを総合的に評価して、進行を遅らせることを目指します。

慢性腎臓病(CKD)とは

腎臓の働きを表すeGFRが60未満である、または尿蛋白など腎障害を示す所見がある状態が、原則として3か月以上続く病気です。腎機能が保たれていても、尿の異常が続けばCKDに該当することがあります。腎臓だけでなく心不全、心筋梗塞、脳卒中などへの注意も必要です。

当院の診療の8つの特徴

01

過去のeGFRを継続的に確認

当院の検査データ管理システム(RS_BASE)に蓄積された結果を活用し、数年間の腎機能の推移を確認します。1年間でeGFRがどれほど変化したか(eGFR slope)も診療の参考にします。

02

尿蛋白も合わせて評価

eGFRだけでは腎臓の状態を十分に判断できません。尿蛋白を調べ、糖尿病のある方では必要に応じて尿アルブミンも評価します。検査は病状と保険診療上の条件を考慮します。

03

家庭血圧を含めた血圧管理

原則として診察室血圧130/80mmHg未満、家庭血圧125/75mmHg未満を目指します。ただし年齢、腎機能、ふらつき、日常生活の状態を踏まえ、無理なく段階的に調整します。

04

病態に合った腎保護薬

ACE阻害薬・ARB、SGLT2阻害薬などを適応に応じて検討します。2型糖尿病を合併するCKDでは、条件に応じて非ステロイド型MRAも選択肢です。腎機能、カリウム、脱水などに注意します。

05

心臓と血管も守る

CKDは心不全や動脈硬化と密接に関係します。血糖、脂質、血圧、心機能を一緒に管理し、腎臓と心臓の両方を守ることを目指します。

06

減塩と低栄養の予防

食塩は原則1日6g未満を目安にします。たんぱく質、カリウム、水分の制限は全員に必要ではありません。高齢の方では筋力低下や低栄養にも気を配ります。

07

薬の安全性と体調不良時の対応

脱水、感染症、鎮痛薬などによる腎機能悪化に注意します。発熱、下痢、嘔吐、食事がとれないときの薬の調整は、あらかじめ相談して決めます。造影検査を受ける際も腎臓病があることを伝えましょう。

08

腎臓専門医との連携

腎機能の低下が速い場合、尿蛋白が多い場合、血尿や原因不明の異常がある場合は、腎臓専門医療機関と連携します。日常の診療を通じて長期的に見守ります。

eGFRは「現在値」だけでなく、低下する速さが大切です

例えば、同じeGFR 65から始まっても、毎年5ずつ低下する場合と2ずつ低下する場合では、数年後の腎機能が異なります。当院では、過去の検査値から長期的な傾向を把握することを大切にしています。

eGFRの低下速度の違い(説明用) 70656055504540 0年1年2年3年4年 年5低下する例年2低下する例 eGFR(mL/分/1.73m²)

※架空データによる比較模式図です。同一患者の治療前後を示すものではなく、薬の効果や将来の経過を保証するものではありません。実際のeGFRは脱水、感染症、薬剤開始直後などで変動します。筋肉量が少ない方では、必要に応じてシスタチンCによる評価も検討します。

腎臓病の重症度は「eGFR × 尿の異常」で考えます

腎機能のG分類と、尿アルブミン・尿蛋白のA分類を組み合わせ、腎機能低下や心血管疾患などの危険度を評価します。

eGFR区分eGFRA1
正常~軽度
A2
中等度
A3
高度
G190以上低やや高い高い
G260~89低やや高い高い
G3a45~59やや高い高い非常に高い
G3b30~44高い非常に高い非常に高い
G415~29非常に高い非常に高い非常に高い
G515未満非常に高い非常に高い非常に高い
低やや高い高い非常に高い

尿のA分類の目安

測定項目A1A2A3
糖尿病:尿アルブミン/Cr比30未満30~299300以上
単位mg/gCr
非糖尿病:尿蛋白/Cr比0.15未満0.15~0.490.50以上
単位g/gCr

※日本国内で広く用いられるCKD重症度分類を参考にした独自作表です。原疾患や年齢なども合わせて判断します。G1・G2でも、腎障害を示す所見がなければeGFRだけでCKDとは診断しません。緑色は腎臓病がないことの証明ではありません。

血圧と薬の管理

診察室血圧の原則目標130/80未満mmHg
家庭血圧の原則目標125/75未満mmHg

腎臓の保護を目指した血圧管理は重要ですが、急激な降圧やふらつきを避け、体調に応じて治療します。糖尿病がなく尿蛋白陰性の場合などは、中間目標を設定することがあります。

腎臓を守るための薬には、ACE阻害薬・ARB、SGLT2阻害薬などがあります。2型糖尿病を合併するCKDでは非ステロイド型MRAを検討する場合もあります。薬剤の選択には国内の適応条件があり、血圧・腎機能・カリウムなどを見ながら調整します。

毎日の生活で気をつけたいこと

  • 家庭血圧を測り、定期的に血液検査と尿検査を受ける。
  • 減塩を心がけ、無理のない運動と栄養の確保を両立させる。
  • たんぱく質や水分を自己判断で極端に制限しない。
  • 市販の鎮痛薬やサプリメントを使用する前に相談する。
  • 下痢・嘔吐・発熱などで十分に飲食できないときの薬の扱いを、事前に確認しておく。薬を一律に自己中止しない。
  • 造影剤を使う検査の前には、腎臓病があることを医療者に伝える。

当院のCKD診療の流れ

① 現在の腎機能を知る
eGFR・尿検査・病気の原因
② 長期の変化を知る
RS_BASEの過去データを確認
③ 将来の進行を防ぐ
血圧・薬・生活習慣・専門医連携
腎機能の数字だけでなく、その変化を診る。腎臓だけでなく、心臓と血管を診る。そして、10年後、20年後の健康を守る。

菊池クリニックは、患者さんと一緒に、長く続けられる腎臓病の治療と管理を考えていきます。