心不全の状態を継続的に確認
息切れ、むくみ、体重の変化を診察し、必要に応じてBNP・NT-proBNP、心電図、血液検査、心臓超音波検査(心エコー)などを活用します。検査の値だけでなく、以前の状態からの変化を重視します。
心不全の悪化を防ぎ、住み慣れた地域での暮らしを守るために。
症状や検査結果だけでなく、毎日の体重・血圧・生活の変化にも目を向け、一人ひとりの病状に応じた継続的な管理を大切にします。
心不全は、心臓が十分に血液を送り出せない、あるいは血液を受け入れにくくなることで、息切れ、むくみ、疲れやすさなどが現れる状態です。症状が落ち着いていても、感染症、不整脈、塩分の摂りすぎ、薬の中断などがきっかけで悪化することがあります。
当院では、心不全の悪化や再入院のリスクを減らし、できるだけ自分らしい生活を続けられるよう支援します。
息切れ、むくみ、体重の変化を診察し、必要に応じてBNP・NT-proBNP、心電図、血液検査、心臓超音波検査(心エコー)などを活用します。検査の値だけでなく、以前の状態からの変化を重視します。
収縮する力が低下したタイプと、収縮する力が保たれていても心臓が硬くなり、広がりにくいタイプなどを区別します。病型、血圧、腎機能、合併症に合わせて治療を調整します。
ARNI・ACE阻害薬・ARB、β遮断薬、MRA、SGLT2阻害薬、利尿薬などを、心不全の種類に応じて選択します。症状の改善に加え、心不全の悪化や入院を減らすことも目的とします。
心臓と腎臓は密接につながっています。薬の調整時には、腎機能や血液中のカリウム・ナトリウム、血圧、脱水の有無などを確認し、安全性を重視します。
塩分の摂りすぎを避けながら、低栄養や筋肉量の減少を防ぐことも大切にします。水分制限は全員に必要なわけではありません。食事と水分の摂り方は病状に応じて助言します。
病状が安定していれば、無理のない歩行や筋力維持の運動が役立ちます。運動内容は症状に応じて判断し、専門的な心臓リハビリテーションが必要な場合は専門施設と連携します。
高血圧、糖尿病、脂質異常症、慢性腎臓病、心房細動、睡眠時無呼吸症候群に加え、貧血や鉄欠乏にも注意します。心臓だけでなく全身の状態を診ます。
症状の悪化、重い不整脈、弁膜症などが疑われる場合は、循環器専門医療機関に紹介します。病状が安定している時期の日常的な管理を、地域のかかりつけ医として支えます。
心エコーで調べる「左室駆出率(LVEF)」は、心臓が血液を送り出す働きを知る目安の一つです。
| タイプ | 特徴 | 治療の考え方 |
|---|---|---|
| 収縮力が低下した心不全 HFrEF | LVEF 40%以下 | 予後改善が確認された基本的な薬物治療を組み合わせます。 |
| 収縮力が軽度低下した心不全 HFmrEF | LVEF 40%超~50%未満 | SGLT2阻害薬などを病状に応じて検討します。 |
| 収縮力が保たれた心不全 HFpEF | LVEF 50%以上 | 心臓が広がりにくい場合などがあります。うっ血の改善や合併症の管理、病型に応じた薬物療法を行います。 |
| 収縮力が改善した心不全 HFimpEF | 以前LVEF 40%以下で、10ポイント以上改善し、40%超となった状態 | 改善しても再悪化の可能性があるため、原則として有効な治療を継続します。 |
毎日の記録は、心不全の悪化を早く発見する助けになります。可能な範囲で、同じ条件で確認しましょう。
安静にしていても強い呼吸困難がある、激しい胸の痛みがある、意識がはっきりしない、唇が紫色になるなどの症状は緊急対応が必要です。
心不全の自己管理に役立つ資料として、日本心不全学会の心不全手帳(第4版)もご参照ください。
高血圧、糖尿病、慢性腎臓病、肥満などは、将来の心不全に関係します。症状がない段階から、血圧、血糖、腎機能を適切に管理することが重要です。必要に応じて心電図、心エコー、BNP・NT-proBNPなどを用いて心不全の兆候を評価します。
症状が出る前の予防と、心不全と診断された後の悪化予防を、切れ目なく考えることを大切にしています。
本ページは日本循環器学会・日本心不全学会「2025年改訂版 心不全診療ガイドライン」などを参考に、患者さん向けに構成しています。