新型コロナ後遺症(PASC)のリスクを軽減するために知っておくべきこと

 

1. PASC(Post-Acute Sequelae of COVID-19)とは?

 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から回復した後も、長期間にわたり症状が続く状態を「PASC(Post-Acute Sequelae of COVID-19)」、または「ロングコビット」と呼びます。これは感染から3か月以内に新たな症状が出現し、少なくとも2か月以上持続するものです。

 

主な症状

慢性的な疲労感

呼吸困難や息切れ

集中力の低下や記憶障害(ブレインフォグ)

筋肉痛や関節痛

心臓や肺の機能低下

 

2. PASC発症リスクを示すデータ

 

以下のグラフは、感染回数、感染時の重症度、ワクチン接種状況によるPASCの発症リスクを示しています。

 

PASC_risk_chart_final_jp.png

 

単回感染に比べて複数回感染のリスクが約1.4倍高い

軽症・無症状に比べて重症の場合はリスクが約3倍高い

ワクチン接種済みの人は未接種の人に比べてリスクが大幅に低い

 

このデータから、複数回感染を防ぐことワクチン接種を行うことが、PASCリスク軽減に重要であることがわかります。

 

3. PASCのリスクを軽減するための具体的な対策

 

(1) ワクチン接種を受ける

ワクチン接種は重症化を防ぐだけでなく、PASCの発症リスクを減らす効果があります。

可能であれば追加接種(ブースター接種)を受け、免疫を強化しましょう。

 

(2) 感染防止対策を徹底する

複数回感染を防ぐためには、基本的な感染対策を継続することが大切です。

マスクの着用(特に人混みでは効果的)

手洗いや手指消毒の徹底

換気の徹底(室内の空気を常に新鮮に保つ)

感染のリスクが高い場所では、人との接触を最小限にするよう心がけましょう。

 

(3) 健康的な生活習慣を維持する

栄養バランスの取れた食事を心がけ、免疫力を高めるためにビタミンやミネラルを積極的に摂取しましょう。

適度な運動を日常に取り入れ、体力を維持することも重要です。

十分な睡眠を確保し、体を回復させる時間を確保しましょう。

 

(4) 早期の医療機関受診

COVID-19感染後に症状が長引く場合は、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。

早期診断と治療により、症状の悪化を防ぎ、回復を早めることが期待できます。

 

4. 社会全体での対策が必要

 

PASCは個人だけでなく社会全体に影響を与える可能性があります。特に、医療機関への負担が増加することで、他の病気への対応が遅れる懸念があります。そのため、感染を防ぐ行動正しい情報の共有が重要です。

 

5. まとめ

 

PASCは感染後も長期間にわたり生活に影響を与える可能性がある深刻な問題ですが、ワクチン接種や基本的な感染対策を行うことでリスクを軽減することが可能です。

 

感染を防ぐ行動を継続し、万が一感染した場合は早期に対応することで、PASCによる影響を最小限に抑えましょう。

 

健康は一人ひとりの行動から守られます。適切な対策を取り入れ、未来に向けて健康を維持していきましょう。

 

参考文献

1. Ricardo da Silva Antunes, Vicente Fajardo-Rosas, Esther Dawen Yu, et al. “Evolution of SARS-CoV-2 T cell responses as a function of multiple COVID-19 boosters”. doi: 10.1101/2025.01.08.631842

2. “ANALYSIS: Why are B.C. kids sick all the time? Health experts explain” – Globe and Mail

3. “Opinion: We don’t know what’s causing the tsunami of sick kids, but we’d better figure it out fast” – The Globe and Mail