マイコプラズマ感染症の再感染と再燃について
相変わらずマイコプラズマ感染症の流行が続いています。昨日来院された患者さんのお話では、小学生のお孫さんのクラスがマイコプラズマ感染症による学級閉鎖になったそうです。家庭内でも感染が広がりやすいこの病気は、特にお子さんがいる家庭で注意が必要です。
最近、私の患者さんで一旦治ったマイコプラズマ感染症が、家庭内でのお子さんの感染に伴い再燃した方がいらっしゃいました。このケースを通じて、今回はマイコプラズマ感染症の再感染と再燃について解説します。
マイコプラズマ感染症とは
マイコプラズマ感染症は、細菌の一種「マイコプラズマ・ニューモニエ」による呼吸器感染症です。長引く乾いた咳や発熱が特徴で、特に子どもから若年層に多く見られます。また、家庭や学校など密接な環境では簡単に感染が広がるため、集団感染や流行が頻繁に報告されています。
再感染と再燃の違い
1. 再感染
• 再感染とは、一度治癒した後に、新たにマイコプラズマ菌に感染することを指します。
• 一度の感染では免疫が不完全であるため、再感染のリスクが残ります。
• 特に家庭内や学校などでの流行が続いている場合、数週間~数か月以内に再感染することが報告されています。
2. 再燃
• 再燃は、治療が不十分だったり、免疫力が低下している場合に、初回の感染が完全に治らず、再び症状が悪化することを指します。
• 再燃は治療後1~2週間以内に起こることが多く、特に耐性菌の関与が疑われるケースでは注意が必要です。
再感染・再燃の要因
1. 家庭内感染
• 家庭内で一人が感染すると、密接な接触を通じて他の家族に広がることがよくあります。治癒後も感染者が近くにいる場合、再感染するリスクが高まります。
2. 不完全な免疫
• マイコプラズマ感染後の免疫は不完全で、感染後も他の菌株に対しては防御力が弱いため、再感染が起こる可能性があります。
3. 治療の不十分さ
• 抗菌薬の服用期間が短い、または適切な薬剤が選択されなかった場合、初回感染が完全に治癒せず再燃するリスクがあります。
臨床例:再感染と再燃のケース
再感染のケース
Aさん(40代女性)は、1か月前にマイコプラズマ感染症と診断され、抗菌薬で治療を受けました。一度症状が治まりましたが、最近になって小学生の娘が感染し、家庭内での再感染が疑われる症状が再び出現しました。
再燃のケース
Bさん(50代男性)は、2週間前にマイコプラズマ感染症の治療を受けましたが、症状が軽快しないまま、咳と倦怠感が悪化しました。追加の検査で耐性菌の可能性が示唆され、治療薬の変更が必要となりました。
再感染・再燃を防ぐためのポイント
1. 家庭内での感染予防
• 感染者の咳や飛沫を防ぐためにマスクを着用し、手洗いを徹底しましょう。
• 共用物(タオルや食器)を別にし、適切に消毒することも重要です。
2. 治療の徹底
• 抗菌薬は指示された期間、必ず最後まで服用してください。症状が軽快しても、途中で中断すると再燃のリスクが高まります。
3. 免疫力を保つ
• バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動を心がけることで、感染や再燃を防ぐことができます。
まとめ
マイコプラズマ感染症は、家庭内での密接な接触によって再感染が起こりやすく、一度治癒したように見えても再燃することがあります。流行期には、感染予防の徹底と適切な治療が重要です。特に、お子さんのいる家庭では、家族全員で予防策を講じて流行を防ぎましょう。
何か気になる症状があれば、早めに医療機関へご相談ください。